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フルメタル・アクションヒーローズ
第69話 俺は青春が少ない
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なりかねな――

「俺は大マジだぞ、親父」

 ――いぃっ!?

 まさかの通話相手に、思わず階段から転げ落ちそうになってしまう。お、お、親父だとォ!?
 確かに、あの「昭和臭いオッサン」という表現のよく似合う親父が話相手となれば、イヤでもマジにならざるを得ない。俺が思ってた以上に、深刻な話をしてる……のかな?
 しかし、親父と一体何の話を……?

 俺は階段のすぐ下で電話を続けている兄貴の通話内容に、耳を傾けた。スピーカーホンじゃないんだから、兄貴側の声しか聞こえないけども。

『龍太に、一煉寺家の技を全て教える……。本当にそのつもりなのだな』
「ああ。随分と厳しくしちまったが、これであいつもかなりマシになったはずだ」
『マシ……か。本来ならば、あの子には拳法そのものを教えないつもりだったのにな』

 ――んん? もしかして俺の話してんのか?

「……まぁ、な。本当なら、俺一人で一煉寺家の拳法を全て吸収して、龍太には武道自体に一切関わらせないはずだった。少なくとも、四年前までは」
『かつては、裏社会の悪を裁いてきた少林寺拳法の一族だった俺達も、今や普通の道院を持って普通に暮らしている。それも全ては、龍太に平穏な生活をさせるためであったな』
「そうだな……。力の強弱がモノを言う世界で、龍太を苦しめるわけにはいかない。俺だけが強くあればいいんだ……って、ずっと思ってたよ」

 やっぱ、俺の話みたいだな……。元々、拳法を教えるつもりがなかったから、俺には何も知らされてなかったってワケか。
 しかし、四年前って……。まさか、俺が矢村を助けようとしてボコられた時のこと言ってんのか?

「――けど、四年前、あいつが同級生の女子のために、喧嘩して病院送りにされた時、思ったんだ。俺だけが強くても、あいつを守れるわけじゃない。あいつが自分で自分を守れる強さ――護身術を持たないと、俺はあいつを守ったことにはならないんだ……って」
『それで二年間、あの子を道院で鍛えて来たのだろう? お前としても満足のいく拳士になったと聞いていたが?』
「確かに、あの時はな。当たり前だけど、あいつの周りに命に関わるような敵なんていなかったし、最低限、身を守れるだけの技術を教えたから、もう十分だと思ってた」
『去年の正月に一度見せてもらったが、確かにアレは最低限、だったな。突き蹴り、投げ技の精度こそ一煉寺家の拳士に恥じぬ完成度ではあったが、いかんせん基礎体力が伴わなさ過ぎる。よくあれで「技術の解放を望む者達」とやらに勝てたものだ』
「……まぁ、それは着鎧甲冑ってヤツのおかげだったんだろうさ。しかし、母さんには黙っといて正解だったな。もしあの人に龍太のコトが知れたら、俺がただじゃ済まなかったよ。一切拳法を教えず、平和な暮らしをさせてやるはずだ
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