第68話 紅白戦開幕
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」
しばらくは広場の中央で、俺達を待ち受けていた茂さんだったが、俺が女性陣と喋ってばっかなのが気に食わなかったのか、声を張り上げて挑発してきた。その叫びと共に、彼の脇を固めていた使用人達が、蜘蛛の子を散らすように離れて行く。
俺は案内してくれたメイドを含む、全員に「それじゃ、行ってくる」と言い残すと、アスファルトで固められた戦場へと踏み込んでいく。
「龍太君、負けないで! もし負けたら、こ、子作りの刑だからね!」
「ホントやで! 負けたら既成事実の刑やからな!」
「な、な、な、なんざますか!? そのハレンチな刑はッ!」
……不穏なエールを背に受けて。
茂さんは俺が近づいてくると、口元を吊り上げて「腕輪型着鎧装置」を構えた。俺もそれに続くように、赤い腕輪を巻いた手首を、唇に寄せる。
「ついにこの時が来たな! 貴様が不当に得てきたもの、全て奪い返してくれる!」
「……あんたから、何かを奪った覚えはない。悪いけど、『守らせて』もらうよ」
そしてお互いの視線を交わし、同時に身構え――
「準備はよろしいですね? では、チャクガイカッチュウゥゥウッ、レディィィファイィッ!」
――セバスチャンの、見かけによらない超ハイテンションな掛け声と共に、いよいよ試合が始まった。
開幕と同時に、茂さんは「着鎧甲冑ッ!」と叫びながらこちらに突進してくる。白い光の帯に包まれたツルツル王子が、あっという間に俺の視界を埋め尽くそうとしていた。
……ち、思ってたよりずっと速い!
「――着鎧甲冑!」
俺は茂さんより一瞬遅れて、「腕輪型着鎧装置」に音声を入力する。程なくして、真紅の腕輪から同色の帯が飛び出し、俺の体に絡み付いて来る。
だが、それを待っていたら先制攻撃を受けてしまう。既に茂さんは着鎧を終え、「G型」特有の非殺傷電磁警棒を構えていた。
彼の得物を持つ右手が水平に振られた瞬間、俺は咄嗟に身を屈めるように腰を落とすと、電磁警棒の一閃を潜るように前方へ転がる。
そこから受け身をとるように体勢を整えた頃には、既に俺は「救済の超機龍」に着鎧していた。お互い、これでようやく土俵に上がったようだな。
赤いヒーローと白いヒーロー。まさしく紅白戦である。
「存外に素早いな。それも『救済の超機龍』の賜物か」
背後に回られたと悟り、一瞬で体の向きを切り返す茂さん。どうやら、かなりスピードに長けた人らしい。
彼が発した一言に、救芽井は「なんであなたがそれを!?」と驚きの声を上げていた。そのことについても、後でじっくり聞かせてもらわないとな。
「ふん、まぁそんなところ……うぷっ!」
そして、避けたのが俺の実力だと認めようとしない茂さんに対し、「そんなところだ」
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