第67話 ムカムカしたら即決闘
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ーキに、炊飯器に詰め込んでも溢れて来そうなサラダ。丼のようなデカイ器に一杯になるまで注がれたコーンスープ。
こんなもん全部食わされたら、間違いなく腹を壊す。じゃなくても、しばらくは動けなくなる。
それを狙ってのことだったらしく、俺を見つめる茂さんは「してやったり」の表情。どうやら、すっかり嵌められてしまったらしい。
……あのですね。「きちんと」っていうのは、適度な量を出した時に言うもんだと思いますよ。ただ出せばいいってもんじゃないでしょうよ。
しかし、出された以上は完食するしかない。「無料で」頂いてる身であるからには、残すに残せないからだ。
救芽井と矢村に視線で助けを求めてもみたが、二人とも俺の分に手を出そうとはしてくれなかった。「太りたくない」とか、そういう理由なんだろうな……。
もちろん最初は救芽井が、この明らかに決闘に差し支えかねない量について抗議してくれたのだが、「強い男ならこれくらい平らげるもの」という茂さんの言葉に、あっさり納得してしまっていた。ろくに男ってもんを知らないばっかりに、すっかり丸め込まれてしまったのである。
また、一般的な感覚を持ってるはずの矢村でさえ、茂さんの発言を聞いてから「龍太は強いんから、これくらい朝飯前やっ!」などと口車に乗せられてしまっていた。……「売り言葉に買い言葉」って言葉は確かにあるけどね。お前が買ってどうするよ。
久水は頭から湯気を噴き出したまま俯いてるだけだし、四郷はジッと静観してるだけで、助けてくれる気配がまるでない。
かくして、完璧に孤立無援の状態に成り果ててしまった俺は、がむしゃらにメシにかぶりつくしかなかったのだ。「計画通り」とニヤつく茂さんをジト目で睨みながら……。
――それから数十分が過ぎ、ようやく完食した俺は、セバスチャンさんから貰った水を飲み干し、テーブルに突っ伏していた。勝手にセバスチャンなんてあだ名付けてごめんねセバスチャン。
「ぐふっ、ご、ごちそうさん……」
「お粗末様。ククク……まさか本当に全部食べてくれるとはな。ウチのシェフも喜んでいることだろう」
野郎……完全にこの状況楽しんでやがる。すきっ腹で戦うのも十分リスキーだが、動けないほど満腹にされて戦わされるのも、これまた辛い。
せめて一時間の猶予があれば、腹も落ち着いて――
「では決闘は二十分後としよう。準備は済ませておくように」
――って、たったの二十分かいッ!?
「ちょ、ちょっとお兄様。いくらなんでもそれは不条理ざます」
やっとこ気持ちが落ち着いてきたのか、顔を上げた久水が制止にかかる。救芽井と矢村も、非常に今さらではあるものの我に返ったようで、抗議の視線を茂さんに向けていた。四郷だけは「我関せず」という具合だったが。
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