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フルメタル・アクションヒーローズ
第65話 ツルッツルの兄、ボインボインの妹
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を愚弄しただろう!?」
「……なわけないでしょ。お願いですから、決闘前くらい穏便に行きましょうよ」

 俺は両手をひらひらさせて、降参の意を示す。が、向こうはこっちが挑発してるものと思い込んでるらしく、さらに憎々しげな表情を浮かべた。
 ――髪の毛と一緒に、カルシウムでも持ってかれたのか? この人は。

 そんな聞く耳を持ちそうにない茂さんを見て、さてどうしたものか……と、俺が本格的に頭を抱えだした時。

「……いらっしゃい。この間は、ありがとう……」
「フォッフォッフォー! 来てあげたざますよ、下郎! このワタクシのご尊顔を直に拝める光栄、身に染みたざますか!?」

 ――来た。来やがった。仰々しい変な笑い声とともに、あの傍若無人唯我独尊、久水梢様が。救芽井を凌ぎかねない程の、ダブル・ダイナマイト・マウンテンの躍動と共に。
 なぜか四郷も一緒にいるけど……まぁ、それはひとまず置いておこう。つか、二人とも赤い薄地のドレスを着ていて、目のやり場に困るんですけど……。

「あらあらぁ、これは外見からして、予想以上の愚図男ざますねぇ。救芽井さんは、どうも殿方を見る目が皆無なようざますね!」
「……この人、ちょっとぐずだけど、わるいひとじゃないよ」

 久水はともかく、四郷にまで愚図呼ばわりとは……。なんだ? 俺は女に虐げられる星の元にでも生まれて来たのか?

「こんな中途半端な体格の男との決闘なんて、不戦勝も同然ざますね。……ん?」

 会って早々の罵詈雑言に堪えかね、目を逸らしていた俺に対し、久水は何かに気づいたかのように眉を潜める。

 そして、その表情は徐々に――

「その顔で、『龍太』……。……な、な、な……! ま、まさかあなたッ……!」

 ――衝撃の事実に直面したかのように、驚愕の色へと染まっていく。

 あーあ、どうやら向こうも思い出してしまったらしい。

 俺の、人生最大の黒歴史を。

「どうした梢!? さ、さては貴様、妹にまで毒牙をッ……!?」

 妹の異変を前に、勝手に勘違いして暴走しかけてる茂さんを完全放置し、俺は久水の方へ向き直る。

 そして――

「よう。久しぶり、『こずちゃん』」

 ――開き直った俺は、あの日のように、屈託なく笑う。
 そのクソキモい笑顔を見せられた彼女は、なんの見間違いなのか、感極まったかのように頬を紅潮させていた。

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