第65話 ツルッツルの兄、ボインボインの妹
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、意外にいい人じゃないか。
救芽井はもとより、決闘には関わらないはずの矢村までお客として丁寧に屋敷に上げている。
「どうした? そんなに震えて。心配ならいらんぞ。ここは設備も充実している。何より、安全だ」
憐れむように、優しく矢村に接している茂さん。……あの震えの意図だけは、教えないほうがいいだろう。
じゃ、俺も早速お邪魔しま――
「なんだ貴様は」
――あ、俺はダメですかそうですか。
明らかに他の二人とは違う扱いだ。槍で突き刺すような冷たい視線を俺に向け、ここは通さないとばかりに立ち塞がっている。
「いや、一応俺も客人らしいんですよ」
「客人だと? 男など呼んだ覚えは――ま、まさか貴様がッ!?」
訝しむように俺を睨んでいた茂さんは、何かに気づいたように目を見開くと、いきなり臨戦体勢に突入した。……あちゃー、やっぱこうなる展開でしたかー。
「樋稟が自ら設計したという『救済の超機龍』……。それを使うべきワガハイを差し置いて、まさかこんな田舎者がッ……!?」
右腕に巻かれた白い「腕輪型着鎧装置」を構え、茂さんは信じられない、という顔で俺を睨みつけている。おいおい、頼むからこんなところで着鎧しないでくれよー。
――ん? ちょっと待てよ。
確か、「救済の超機龍」のことは救芽井家しか知らないんじゃなかったっけか?
この人、どこでそれを……?
俺がそのことで引っ掛かりを感じていた時、玄関の奥から話し声が聞こえてきた。なんか――言い争ってる?
「とうとうここに来たざますね! 逃げずに来たことは褒めてあげるざます!」
「ふん! 茂さんなんて、龍太君にこてんぱんにされちゃうに決まってるんだから!」
「あれ? 龍太、まだ来とらんのん?」
「フォーッフォッフォッフォッ! いいざましょ! ならその龍太とかいう、あなたの婚約者とやらの、お顔を拝見させて頂きますわ! さぞかしみずぼらしい男なんでしょーねぇ! ついてらっしゃい、鮎子っ!」
……うわ、やっぱ妹さんもいらっしゃる? なんかこっちに来る気配だし……。
「てゆーか、四郷までここにいるのか? 一体どうして……」
「ふん、彼女は妹の親友だ! 手出しはさせんぞ、薄汚い田舎者め! どうやって樋稟をたぶらかしたのかは知らないが、ワガハイがここにいる以上、貴様の好きにはさせんっ!」
茂さんは着鎧こそしないものの、へんてこなファイティングポーズを見せ付けながら、こちらを睨みつづけている。なんかもう、すっかり俺が悪役みたいなことになってるな……。
つーか、棒立ちの一般人に腕輪付けて身構えるのはやめようぜ。見てて泣けてくるから。
「ハァ……」
「き、貴様ァ! ため息をついたな!? 今、ワガハイ
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