暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第63話 朝っぱらから肝試し
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とな。
 約束の時間まで、三分を切ってることだし。

「お、お邪魔しま〜す……」
「救芽井〜? アタシら来たで〜……?」

 今までが今までなので、俺達は若干ビビりながら玄関の中へと突入する。電気を付けていないためか、まだ朝ではあっても微妙に薄暗い。

 だが、その先の廊下は埃のカケラもないくらい、完璧に手入れされていた。恐らく、一階にいた従業員達がやってたように、ここも清掃されてるんだろうな。

「き、綺麗やな〜。やっぱ金持ちは違うわぁ〜」
「だな。しかし、救芽井のヤツどこにいるんだか……」

 俺達は靴を脱いで廊下に上がると、何度か彼女の名前を呼ぶ。しかし、返事はない。ただのしかば――なわけあるかっ!?

「なぁ龍太、あそこの部屋だけ電気ついとることない?」
「お、ホントだ。リビングかな?」

 ふと、矢村が指差した先には、半開きになったドアから差し込む一条の光。こんな明るい内から電気が付いてるなんて不自然だし、あそこに救芽井がいる可能性は割と高そうな気がする。

「よーし、返事がないってことは、俺達に気づいてないのかもな。ここはいっちょ、おどかしてやろうぜ!」
「――賛成っ!」

 ようやくここまでたどり着いたという安堵感からか、俺は自分でもわかるくらい、すっかり調子に乗っていた。いつしか胸中に、ちょっとした悪戯心が芽生えていたのだ。
 そして、矢村もそれに同調していたのをいいことに、俺達はいきなりドアを開けて、救芽井をビックリさせてやろうと企んだ。

 息を殺し、足音を立てず、ゆっくりとドアに近寄っていく。そこから漏れている光は徐々に視界を埋め尽くしていき、やがては目と鼻の先にまでたどり着いていた。

「よーし、いくか矢村……!」
「準備オッケーやで龍太っ……!」

 夏休みといえば、「肝試し」だからな。ちょっとくらいおどかしたって、バチは当たるまい。いざっ――!

 バァン!

「来たぜ救芽井ィッ!」
「アタシもおる! ……で……?」

 勢いよく扉を開き、部屋に突入した俺達。

 ――その時、第一に侵入した俺に続き、部屋に入り込んできた矢村の声が、途中から萎みはじめてしまった。

 彼女がそうなってしまった理由。それは至って、単純明快なものである。
 なにせ、俺のオツムでも瞬時に悟ることができるほどに、シンプルな答えなんだから。

 ファンシーなぬいぐるみがあちこちに飾られた、可愛らしいピンク色の部屋。クローゼットの傍に置かれている、二体のクマのぬいぐるみ。

 そして――その二つに身を寄せながら着替えを漁っていた、下着姿のボインなお嬢様。

「え、えっ……ふえぇぇえっ!?」

 上下共に、薄い肌色のブラジャーとパンティー。遠目に見れば、全裸と見
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