第62話 矢村さん家にお邪魔します【挿絵あり】
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おおおおおおッ!?」
その展開に、大工さん達が一斉にどよめく。ていうかあんたら、さっさと自宅に帰りなさいよ。あからさまに近所迷惑だろ……。
「お、おい……矢村?」
「龍太の――そういうとこ、ホント好きやで。……うん。大好き……」
「え!? あ、ど、どうも……」
胸に顔が埋まってるから、表情はわからないが……そのあたりが凄く熱い。季節が季節だから、熱中症じゃなきゃいいんだが。
つーか、こうも真っ向から褒められると、なんかめちゃくちゃ照れるな……。なんか武章さんが「お父ちゃんを見捨てないでくれ!」とかむせび泣いてるけど、正直照れ臭くて、それどころじゃないや。
――そんな告白みたいなことを、男の前で言うから武章さんが誤解するんじゃないか。危うく……俺もその気になっちゃいそうだったしな。
そこんとこ、わかってんのかねぇ……この娘は。
「じゃ、じゃあ行くか! 救芽井も待ってるはずだし!」
「う、うん。お母ちゃん、行ってきます!」
「はいよ。楽しんでおいで!」
心の中で、矢村の無防備さにため息をつきつつ、俺は出発を促す。彼女も頬を染めながらも了解の意を示し、お母さんも朗らかに見送ってくれていた。
……初登場の威風からは想像もつかないスマイルだ。
俺と矢村は、そんなお母さんに手を振ると、やや早歩きで救芽井が住んでいるという駅前のマンションへ向かった。
武章さん達に絡まれたせいで随分遅れを取った。急がなきゃな!
「ま、待てや! 一煉寺龍太とやらッ! まだ話は終わっとら……ヒヒィッ!?」
「――お父さん、それにバカ弟子共。ほなウチで話し合いましょか。じぃっくりとねぇ〜……?」
――なんか後ろの方で大工全員の悲鳴が聞こえた気がするけど……気のせいだよね?
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