暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第2章 久水家にて、一悶着あり
第61話 夏合宿と技術競争
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「『必要悪』、ねぇ……」
「ああ。……俺と同じくらいの体格の男だった。何か知らないか?」

 部室に帰還した後、俺は救芽井にいきさつを説明した。
 無関係なおばちゃんを踏切に投げ込み、俺が助けに行くのを期待していたという、「必要悪」と名乗る白装束の男。
 奴が何者なのか、救芽井なら何が知っているんじゃ……?

「あいつ、俺の名前や『救済の超機龍』のことまで知ってるみたいだった。……そこまで理解してるってことは、救芽井エレクトロニクスの関係者なんじゃないか?」

 疑いたくはないが、「救済の超機龍」の存在は、まだ公には発表されていない。なのにあそこまで知っていたとなると、救芽井エレクトロニクス自体が一枚噛んでる可能性だってある。

「ちょ、ちょっと待ってよ龍太君! 私達が性能テストのために、無関係な人を巻き込もうとしたって言いたいの!?」

 救芽井は酷く狼狽した表情で、俺の両腕をがっしり掴んで来る。不安げな視線をこちらに向け、顔色はやや青ざめていた。

「いやいや、そこまで言ってないから。ただ、救芽井エレクトロニクスのことをよく知ってる奴だってことは、有り得るんじゃないか?」

 まさかこんなに泣きそうな顔をされるとは思ってもみなかったので、俺は慌てて両手を振って、オブラートに包んだ言い方を選ぶ。

 救芽井はその反応に心底ホッとしたような表情を浮かべると、今度は手を顎に当てて、しかめっつらになった。

「うーん……おかしいわね。龍太君が『救済の超機龍』を所持していることを知ってるのは、救芽井エレクトロニクスの中じゃ、私の家族だけなのに……」
「でも、救芽井んとこの家族に、龍太くらいの体格の奴なんておらんかったよなぁ?」
「あ、あぁ、まぁそうだな……」

 矢村の言及に生返事で頷きながら、俺は目を逸らすように窓を見る。

 ――いたけどな。今のこの町にいるはずのない奴が、一人だけ。
 だが、喋り方は同じでも、声は全然違う人間のものだった。やっぱり違うのか……?

「……考えていても、今の私達にその答えが出せるとは思えないわ。こっちの方でも探りを入れてみるから、今は訓練に集中しましょう」

 救芽井は俺の表情を見て、何かを察したように俯くと、早々にこの話題を切り上げてしまった。不自然なくらいに。
 ――考えたくなくなった、ということだろう。俺の感じた可能性に、彼女も気づいたのだとしたら。

 ◇

 ……それから数日間、俺達は(本件の反省を活かして程々に)訓練を重ね、久水家との決闘に備えていった。

 非常時とあらば、何はさておき学校を飛び出し、傷病者に応急処置を施したり、または病院まで担いだり。
 そんなことが度々あったためか、「謎の赤いヒーロー」として、俺も町中に認知されるよう
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