第59話 双生の大魔神
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調べても何も出なかった? 救芽井家の情報網でも?
……ま、そのうち実物に会うんだろうし、今考えることでもないかも知んないけど。
――しかし、変な話だ。
世界的に有名になった救芽井エレクトロニクスと、何の名声もない四郷研究所とやらが、なんでいまさら技術競争なんてしなくちゃいけないんだ? 知名度を考えたら、素人目線で見ても、救芽井エレクトロニクスに任せた方が安心だと思うんだけど。
それに、伊葉和雅って人。
彼は十年も前の総理大臣だそうじゃないか。そんな昔の人がなんで、今回の話を持ち出してきたんだ?
技術競争の際には、審判役として同伴するって聞いてるが……なんて元総理大臣がわざわざ出張って来てるんだろう?
ま、そんなこと俺が考えたってしょうがないんだけどね。
つーか正直、今の俺はそれどころじゃない状況のはずだろう。
来週には救芽井を賭けて久水家の当主さんと闘い、そこから一週間も経たないうちに、未知のプロジェクトと対決することになるわけだ。
――こんなハードスケジュールを、一介の高校生に丸投げしようというのかね。大人達は。
「……そういや『四郷』って、こないだ来た久水の友達に名前が似てないか? 場所も近いし、もしかしたら何か関係あるかもよ?」
俺はどうにか気分を一つ変えたくて、そんな話題を口にしていた。久水家の別荘と距離も近いんだし、なにか関連はあると見てもいいんじゃなかろうか?
「四郷……そうやな、確かに。ていうかあの娘のこと、反応がどーたらこーたらとか言いよらんかった?」
「あっ――そうよ! そうだったわ! いろいろ厄介事ばっかりだったから忘れてたけど……あの四郷って娘、全然こっちのコンピュータに反応しなかったのよ!」
矢村の言葉に呼応するかのように、救芽井は声を上げる。驚いたり怒ったり、いつもホントにお疲れさん……。
「故障じゃねーの?」
「最近用意したばかりの最新型よ!? それに、特定の反応だけに異常を起こすなんて有り得ないわよ!」
「じゃ、じゃあ、あの娘なんなん……!? まさか、お化けとか言わんといてよ〜!?」
矢村は青ざめた顔で俺を見上げると、震える腕を俺の腰に絡めてきた。ふるふるという小さな振動が、微かに伝わって来る。
こうして見ると、まるで小動物みたいだよなぁ。あの男勝りな彼女は、どこへ行ったんだ……?
「……って、なにドサクサに紛れて人の婚約者を誘惑してるのよっ! 龍太君に抱き着いていいのは私だけなんだからねっ!」
すると救芽井までもが、別に怖がってるわけでもないのに、空いてる俺の腕に絡み付いて来る。二人とも、微妙に顔が赤いんだけど……屋内で熱中症でも拗らせたのか?
――つーか、マズイッ! ダブルマウンテンがッ! 石鎚山
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