第七章 C.D.の計略
スパイズサバイブ
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いまだ上昇を続け、常に迫る二、三本の糸から逃れ続けている。
チラリと下を見ると、大都会のビル群の中にある、巨大な円形の空き地が見える。
その中心にある、塩の結晶程度の大きさの黒い点。それがスパイズだ。
と、その眼前に糸が迫り、寸でのところで回避する。
よそ見をしている暇はない。
そうして上空へと昇っていく龍騎だが、今この瞬間に限りもう数秒は下を見ていた方がよかった。
見ていれば、その円形の範囲外でビルが倒れた土煙が見えたはずだし、そこから大きく振り回されていく、その高層ビルも見えたはず。
そして何より
―――――ゴ、ォオオ!!!
「え・・・は?」
その回転による遠心力ではるか上空へと投げ飛ばされ、回り込んで龍騎たちよりも上空に来たビルを見て、回避することもできたはずだ。
「なんでこんなとこにビルが飛んで!?」
「フンッッ!!!」
地上のスパイズが、糸を引く動作をする。
すると、回り込んで龍騎たちに先回りしていたビルが、その軌道を真下に変更した。
そうなると、どうなるかは明白だ。
巨大なコンクリートの塊が、龍騎とドラグレッダーに向かって落下してくる――――!!!
「くっぉぉおおおお!!」
回避はできない。
もう回り込むには遅すぎる。
破壊など到底無理だ。
もはや、この中に
「突っ込んで・・・イケェぇええええええ!!!」
行くしかなかった。
大きさは、まるで切り分けていない焼きたての食パンに爪楊枝が突っ込むようなもの。
その場合なら容易に中に入るが、この場合はどうか――――――
パリン、と、衝突というには余りに小さな音がした。
ガラスを突き破って、反対側に抜けていこうとする流れだ。
そうすれば逆に、今度はこのビルがオレ達を糸から守ってくれる。
だが
「そりゃ甘い」
地上のスパイズが笑う。
中に飛び込んだ龍騎が見たのは、ビルの中に押し込まれたミラーモンスターの群れ。
しかも、すでに瀕死の状態で、もう数秒で爆発と共に消滅しそうな奴らばかりだったわけで。
「うぉぉぉおおおおお!!!」
ドッ
ドドドッ、ドンッ!!
ゴガドドドゴガドドドドドドドドドドォォオッッッ!!!
爆発し、粉々になっていくビル。
そのなかに、力なく落ちていく龍騎の姿が。
そして、その龍騎に向かって地上からまっすぐ伸びてきた糸が張り付き
「行けッ!!!」
スパイズの指示で、一気に引き下ろされる。
ある程度地上まで近づいたところで、それを回して遠心力を掛ける。
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