第55話 出動プロセスは割と小難しい
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
発言に目を見開くと、鋭い顔つきになりながら拳をギリギリと握り締める。……どうやら、学校側の対応がよっぽどシャクに障ったらしいな……。
「――というわけで! これから龍太君には『パトロール』に出向いて貰うわ。将来の着鎧甲冑部創設の時に向けての、『PR』も兼ねて、ね。」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。人助けも見回りも結構なコトなんだが、具体的に何をすりゃいいんだ? ろくな説明もなしに町中に放り込まれても――」
「私が通信でサポートするわ。こっちに来て」
救芽井は片膝を着くと、抱えていたノートパソコンを開いた。俺は訝しみつつ、同じ表情だった矢村と顔を見合わせると、その画面を覗き込んだ。
――真っ黒な背景に、緑のラインが幾つも交差している。どうやら、この町のマップになっているらしい。
この学校を中心にした地図が、画面いっぱいに広がっていた。
その中における、道路や家の中に当たる場所では、小さな青い点がゆっくりと動き回っていた。なんだ……こりゃあ?
「救芽井。これって――」
「見ての通り、松霧町全体を表した電子マップよ。ちょろちょろ動いてる青い点は、生命体に反応している部分なの。大体は人間の位置を表していると思っていいわ」
「人間の位置? 人がどこをほっつき歩いてるのかが丸わかりってことなのか?」
「そうよ。ノートパソコンだと処理落ちがままあるから、部室のパソコンでやった方が効率がいいんだけどね。今回だけは、あなたに説明するための『特別措置』」
人差し指を俺の唇(に当たるマスクの部分)に当てると、救芽井は妖艶さを匂わせる笑みを見せてきた。「特別」っていう点をやたらと強調してた気がするけど……。
「はいはい! それがどうしたって言うんやっ!?」
それの何かが気に食わなかったのか、矢村は怒気を孕んだ声を上げて、俺と救芽井の間で手を振って遮ろうとする。
「ムッ……まぁいいわ。この青い点は、ある条件に達すると――ハッ!」
一瞬だけしかめっ面になった救芽井だが、次の瞬間には何かを見つけたような驚き顔に変わっていた。相変わらず、表情のバリエーションが凄まじいな……。
彼女は何かに気づいたらしく、急に険しい顔になったかと思えば、カタカタと超高速でキーボードを叩きはじめた。その凄みに、俺と矢村は思わず息を呑む。
「来たわね……龍太君! 『救済の超機龍』の初陣よ!」
「ど、どうしたんだ!?」
「説明は移動しながらで教えてあげる。龍太君、松霧駅前の交差点に急行してッ!」
キーボードを叩く作業が終わったかと思えば、救芽井はいきなり切羽詰まったような声を上げた。俺は彼女が口にした地点を耳にした直後、ノートパソコンの画面を注視する。
――松霧駅前の、交差点。
そこに相当する
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ