第54話 男の夢には酸素が詰まっていた
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な赤一色のレスキュースーツ。
着鎧甲冑ならではの、どことなく古臭いデザインを感じさせるソレは、間違いなく「昭和のヒーロー」を好む甲侍郎さんの趣味が出ているせいなのだろう。
ふと、黒いベルトに装着されている、長さ四十センチ程の電磁警棒に目が行く。確か「G型」が許されている唯一の装備品だったよな。
確かに彼女が言う通り、この「救済の超機龍」には、「G型」と「R型」の両方の機能が用いられてるらしい。
――ん? だけど、「R型」の特徴だったはずの救護用バックルが見当たらない……?
腰に巻かれているベルトは「G型」に準拠したモノであり、「救済の先駆者」や「R型」に常備されていたはずの「救護用バックル」らしきものは見当たらなかった。
後ろの腰に手を回してみると、応急処置セットらしき、小さなバックパックは付いていたのだが……人工呼吸システムに必要な、酸素タンクらしきものが見当たらない。
そのため、俺の腰に付いていたバックパックは、「R型」のソレと比べるとすこぶる小さいモノだった。
さすがにそこまでは手が回らなかったのかな……?
もしかしたら心のどこかで、俺は随分な欲を張ってたのかも知れない。うげ、恥ずかしい……。
自分の浅はかさを悔いつつ、俺は頭を掻こうとして――
「……?」
――手に触れた妙な感覚に、思わず眉を潜めた。
なんだこれ? ぷにぷにしてて……柔らかいな。
その柔らかいナニかを見ようと視線を上げた俺の目に……側頭部から伸びている、闘牛のような二本の角が映り込んだ。
体のほとんどが赤色で統一されているのに対して、そこだけが真っ黒に塗装されていたのだ。
長さ二十センチ程度の短い角だが――他の着鎧甲冑では考えられないようなその意匠に、俺はいつの間にか目を奪われていた。
こんな尖んがってて危ないモノ、人命救助が任務の着鎧甲冑に付けてて大丈夫なのか?
……待てよ。まさか、さっきのぷにぷにの正体って……。
俺は考えたくもないような仮定を敢えて立てると、その妙な角に手を伸ばしてみた。
そして手の感触に伝わる、柔らか〜いぷにぷに感。
……この角、なんでこんなに良い子に優しい作りになってんの!? 下手なソフビ人形より子供に優しくないかコレ!?
「あ、どうかしら龍太君? その酸素タンク。お父様が『男の子はこういうのが大好き』って言ってたから、プレゼントだと思って付けてみたんだけど」
――これが酸素タンクかァァァッ!
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