第54話 男の夢には酸素が詰まっていた
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ど!?」
なんだ「救芽井龍太」って! 早くも俺の将来設計が固定されようとしてねーか!?
くっ、高校を卒業したら兄貴が務めてるエロゲー会社に入ろうと思ってたのに! ……大学? 俺の脳みそで入れるかこんちくしょー!
「さぁ、とにかく着鎧してみて。『腕輪型着鎧装置』のサイズも含めて、全てあなたの体に完璧にフィットするように作ってあるわ!」
「俺に合わせて作ってんのか? 道理でやたらしっくり腕に嵌まってるわけだ……」
中三の時は「救済の先駆者」の腕輪を付けていたが……確かアレは、元が救芽井の使っていたモノっていうだけあって、ちょっと腕がキツかった覚えがある。
その辺も、きっと配慮してくれてるんだろう。腕輪自体は結構重いはずなのに、ほとんど手首の血管等に掛かる負担はない。
しかし、自分のための専用機が用意されてたっていうのに、俺ってばあんまり動じてないよな……。
なんか驚きの感覚が麻痺してきてないか? 大丈夫かよ俺……。
「とにかく……やってみるしかないか! ――着鎧甲冑ッ!」
もう少し頭の整理はしたかったが、いちいち感傷に浸って救芽井を待たせるのも悪い。
俺は腕輪に付いているマイクに、久々にあの音声を入力した。
そして、深紅の腕輪の中から、同色の発光体が噴水のように溢れ出て来る。
俺がそれらを目で捉えるよりも先に、赤い光は帯のように俺の体に巻き付いていった。
二年近く経験していなかった、俺の中における「非日常」の象徴。
それが今、「日常」の象徴とも言うべき学校の中で行われている。
――なんとも、不思議な気分じゃないか。
だが、悪い気はしない。
着鎧を終えた時にいつも感じていた、力がみなぎる感覚を思い出してしまった、今となっては。
「ふぅ……」
自分の手足が、赤いレスキュースーツに包まれているのをこの目で確認し、俺は一息ついた。どうやら、予想通り「救済の超機龍」ってのは、赤が基調らしい。
手足の動作に支障がないかを確認するため、俺は軽く手首と足首を捻る。……うん、どこも変な感じはしないかな。
「――うん! やっぱり龍太君はそうでなくっちゃ! カッコいいよっ!」
俺の着鎧した姿を前にして、救芽井は子供のようにはしゃぎながら、ズイッと顔を近づけて来る。まるでキスでもするんじゃないかってくらいの近寄り方だったからか、途中で矢村に羽交い締めにされてしまったけど。
そういや、俺って今どういう格好なんだろう? 救芽井はカッコいいと言ってくれたが、常人とは微妙にズレている彼女にそう言われてもイマイチ腑に落ちない。
なので、俺は部室に置かれていた鏡の前に立ち、自分のフォルムを確認してみることにした。
唇型のマスクに、燃える様
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