第53話 部室はちゃんと許可を取って使いましょう
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リとこちらまで声が響いて来る。
……彼らの近くには、何台かのトラックが駐車している。部室一つを完璧に整備するためだけに、あんな大人数を呼び出したって言うのかよ……。
つーか、近所迷惑ってレベルじゃねーし。
何より恐ろしいのは、彼らの作業が、俺達が校長室からここに来るまでの間に終えられていた、ということだろう。
なんでも救芽井によれば、白ペンキで隈なく塗装した後に、火炎放射機を改造して作った巨大ドライヤーで急速に乾かし、その上にワックスをかけ、もう一度巨大ドライヤーで……という流れ作業を数分でやってのけたのだとか。
救芽井があの部下達に連絡してから、俺達がここに来るまでの時間は十分もなかったはずだと言うのに。救芽井エレクトロニクスの影響力は、常識さえ打ち破ってしまうようだ。
これだけ人を動かせる経済力があるのに、未だに支社一つ立てられていないのは、それだけ着鎧甲冑にお金が掛かるからなんだろうな。
……そんな値段を聞くのも億劫になるような代物に、二年近く前から手を出してたってのか、俺は。
「お、おっかなー……。金持ちって、ホンマに凄いなぁ……」
「……さ、さて、あのオッサン達も帰ったことだし、どっか座るとこないかなー……と?」
ガチムチマッチョマン共が立ち去るのを青い顔して見送った後、俺と矢村はどこかに座って気を休めようと椅子を探す。
――その時、俺の目にあるものが留まった。
テーブルの上に設置された、一台のコンピュータである。
そこから幾つもの細いケーブルに繋げられた、金属製の腕輪。
……俺がよく知っている形状だ。二年前の戦いで、随分とお世話になったからな。
「『腕輪型着鎧装置』……?」
そう、着鎧甲冑のスーツを粒子に分解し収納している、収納ケースの役割を持つ特殊ブレスレット。
連絡用の通信機まで搭載し、必要とあらば一瞬にして着鎧甲冑を纏うことができるのだ。まさしく、ヒーローものにありがちな変身アイテムそのもの、と言ったところだろう。
中三の頃は、確か全ての着鎧甲冑の基盤になっている「救済の先駆者」の行動を、コンピュータを介して管理・サポートしていたんだよな。じゃあ、ここにあるパソコンも……?
――既に救芽井は、ここで着鎧甲冑を運用するための準備を整えていたんだな。
ここまで迅速かつ徹底的に、人命救助のために動いてたのかと思うと、ちょっと怖いくらいの意気込みを感じるよ。
それにしても、この腕輪……こんな色使い、見たことがないな。
救芽井によると、「腕輪型着鎧装置」のカラーリングは、そのまま着鎧後……つまり変身した後の体色に比例しているのだとか。
「救
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