第1章 ドラッヘンファイヤー登場
第51話 部活作りはラノベの華
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れでそのための部活を作ろうってハラなのか。ってか救芽井さん、その、近いんですど……?」
「い、いいじゃない。ずっと、もっと、近くにいても……」
気が付けば、みずみずしい唇が目と鼻の先まで迫っていた。恍惚の表情で俺を見つめる救芽井。
湖のような瞳を潤ませ、彼女の顔はさらに近付いて来る。吐息の音を聴覚が捉え、その温もりが肌に伝わって来る。
まるでキスでもしそうなくらい、近い。ぶっちゃけ、頭がクラクラしてきた。
――こんなの、からかいで出来るようなレベルじゃない! 頬になら既にキスされたことはあるが、唇となると全然「重み」が違って来るぞ!?
やっぱり、マジで俺は彼女の婚約者、なのか……!?
「ん……」
唇がほんの僅かに突き出され、さながら「キス待ち」の表情を作る救芽井。おいおい、乱心めされたかお嬢様!?
だけど、紛れもなくコレは「そういう」空気を放っている。やるのか!? やるしかないのか一煉寺龍太!?
「――ええかげんにせぇやぁッ!」
うっかりそんな雰囲気に流されそうになった俺だが、その一言で現実に引き戻されてしまう。うぅ、ホッとしたような残念なような……。
声がした方を振り返ると、そこには机の上にちょこんと座っていた少女が、膨れっ面で俺を睨む姿があった。
川の下流のようなラインを描く、黒髪のセミロング。救芽井ほどではないにしろ、美少女と呼ぶにはあまりにも十分過ぎる顔立ち。
小麦色に焼けた肌に、パッチリとした漆黒の瞳。歳の割には平らな胸部に、愛らしい口元から覗く八重歯。
腰掛けていた机から飛び降りたところを見れば、その身長が中学生くらいの小柄なものだということがわかる。
俺と同様、救芽井からの呼び出しを受けて夏休みの学校に来ていた、矢村賀織だ。
彼女は四国からの転校生であり、俺とは中学以来の付き合い。救芽井家と古我知さんの抗争に俺が巻き込まれた時も、何かと気に掛けてくれていた。
敢えて苦言を呈するなら、男より男らしい性格ゆえ、俺の立場が常にない、ということだろう。
ちなみに、彼女と救芽井は校内で人気を二分しており、今では既にファンクラブが出来上がってるくらいだ。
そんな二人と、いつもこうして一緒にいるせいで、俺が全校の男子生徒から総スカンを食らっているのは言うまでも……あるまい。
彼女は机から飛び降りたかと思うと、猛スピードで俺と救芽井の間に割って入り、引き離すように俺達の胸元を押し出した。
「アタシの目の前で、よくも、そそ、そんな破廉恥なことできるなぁっ! 婚約者ゆうたって、まだ結婚したわけやないんやけんなっ! 龍太はあんたには渡さんけん!」
俺の頭を思い切り抱き寄せ、矢村は八重歯をぎらつかせて救芽井を威嚇する
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