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勇者にならない冒険者の物語 - ドラゴンクエスト10より -
始まりのジュレット6
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じまじと見つめあった後、バルジェンがぷっと吹き出す。
「めでたくねー乾杯」
「そんにゃ事にゃいでしょー」
「棒読みだし」
「あはは」「ははっ」
二人は笑いながらグラスを傾ける。
2杯グラスを開けた所で、ジアーデはステーキをナイフで薄めに切り出して左手で掴むとバルジェンに差し出した。
「ほい、ひと切れ目」
「手で食べるんかい!」
「ジアーデはチョウキみたいにお上品じゃにゃいんだにゃー」
にこにこして差し出してくるジアーデに苦笑すると、右手でスライス肉を受け取り無造作に口に運んで噛みちぎる。
「ん、ステーキじゃなくて干し肉か」
「噛めば噛むほど味わい深いにゃ〜。オーガ特製干し肉だにゃ!」
「ん、美味い。ウィスキーによく合う!」
「レンダーシア訛りだにゃ?」
「ああ、こっちではウィシュテーって言うんだっけ」
「そーだにゃん」
ジアーデも薄めに切り分けた干し肉をかじりながら琥珀色の酒の入ったグラスを傾ける。
「んー絶品にゃ!」
「しかし、なんだってこんな時間に?」
「干し肉を食べれるように埃を落としてたのとー」
「製法は聞くまい・・・」
「あとはチョウキの事だから絶対バルジェンに酒飲ませにゃいと思ってたからにゃ。時間差アタックにゃ」
「何を攻撃すんだよ・・・」苦笑する「しかし、チョウキが酒飲ませないってよくわかったな」
「お上品だからにゃ。あたし達みたいに普段から酒を飲む習慣は無いにゃ」
「・・・なるほど、そもそも夕食で酒飲まないのか・・・。あれ、でも食べる前に酒の話題出したら結構乗り気だったような」
「夜這いして欲しかったんじゃにゃいかにゃ?」
「そっちかよ! チョウキってよくわからない娘だよな」
「一応積極的ニャンだと思うよ〜」
「まぁ、確かにな」
空になったグラスに自分でウィシュテーを注いで窓の外、星の瞬く空に目を向ける。
釣られて空に視線を移したジアーデが、ポツリと呟く。
「バルジェンは、どんな世界から来たのかにゃ・・・」
「何、唐突に。そもそもウェディである以上、異世界とかそう言うんじゃないんじゃないか? 記憶は無いが」
「そうだにゃ。バルジェンはウェディなのにゃ」
「記憶もさることながら色々混乱もしちゃいるが。ウェディなんだよね」
寂しそうに笑って外を眺めるバルジェンの横顔を、ジアーデは真剣な眼差しで見つめていた。
(でも、大賢者様はこの世には女神の加護を受けて蘇りをする戦士がいるって言ってたにゃ。もしかしたら、この人が・・・)
彼女が思案にふけっていると、トントントトトンっとリズムよくノックする音が聞こえて二人の視線が入
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