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虚弱ゲーマーと似非弁護士の物語 −求めたのは力では無く−
第二章 ヒーローズ リターン トゥ エブリデイ
Act1 東京さおっそろしいとこだべ
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 ――――私、小比類巻香蓮は絶望の淵にいました
 北海道生まれの私は高校卒業後、本来は地元の大学に通う筈だったのだが、駄目元で受験した日本有数のお嬢様学校に受かってしまい、東京に1人来た事ではありません。
 今自分が住んでいる場所は年の離れた4人の兄姉の内、東京で結婚した姉夫婦が住んでいる高級マンションです。
 勿論家賃は両親が出してくれている。だがそこが問題でした。
 先日、姉の友人を名乗る男女のカップルがお金を貸してほしいと頼んできたのです。
 勿論、初対面な人間に突然そう言われても怪しんだのだが、本当は姉にお金を借りに来たと説明しつつも、今現在連絡が取れないとの事。
 では姉を待てば宜しいのではと疑問を呈したら、大至急の入用らしい。
 一応確認しようかと思ったら、今日は確かなんかの資格を取るためのテストを受けに行くと先日聞いた覚えがある事を思い出しました。
 それによって正直如何しようかと考えていると、信用ならないなら免許証を預けておくと提示して来たので、それではと最早疑わずに家賃も含めた代金を借してしまったのです。
 理由として、二日後に必ず返すと念を押して来たのも大きかったのだろうが、何よりの理由――――では無く、原因(・・)は自分がまだまだ他者からの悪意に慣れておらず、世間も知らない箱入り娘だったからでしょう。
 だからこそ容易に騙されたのです。
 気づいたのは次の日。姉から電話を受けてから途中で質問すると、昔から記憶力の良い姉は断固としてそんな名前の友人はいなかったと訝しみながら言われました。
 その事で心配になり、預かっていた免許証に記載されている住所を頼りに住まいに足を延ばしてみれば、そこはものの見事に空き地で誰もいなかったのです。
 雑草が夥しく生えており、そこについ先日まで建物が立っていたなんて話も無かった―――この事から自分は騙されたのだと気づいたのです。
 この事を家族に相談すれば、恐らくは憤り、警察が動く様に計らってもらえるだろうし、解決するのも遠くは無いでしょう。
 だけど出来ません。
 騙した相手に腹正しさを覚える以上に、自分が心底情けないと思ったからです。
 真面目な性格だからこそ、此処まで思い詰めているのです。
 そんな精神状態で帰宅の途についていた香蓮でしたが、

 「あれ?此処、何所だろう?」

 無意識かつ朧気な足取りだったので、知らない道に知らない街角に迷っていました。
 しかも辺りは暗い。
 今はまだ5月ごろなので、この季節で夜空の下に居ると言う事はそれなりに遅いと言う事。
 しかし当の香蓮はそんな考えには至れずに、精神的に参っていたのもあって睡魔にも襲われていました。

 (不味い・・・)

 こんな時間の知らない街角の路上で危険だと言う事位は理解して
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