幕間の物語:スリーピング・ナイツ
第二十話:近づく最期
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ステムが全てを管理していると聞いたことがあった。全てが数字によって構成されているシステムが運営であるからこそ、SAOには些細なバグはあるにしても、ムラのようなものはなかった。敵のポップ数しかり、レベルしかり。だが、このALOはどうだろうか。まだこのゲームを始めて日は浅いが、ある程度の冒険はしてきた。故に思うことがある。
今のこの現状。四方をドラゴンや騎士に囲まれ、進路は愚か退路すら塞がれたこの状況は、果たしてシステムが支配しているのだろうか。
「兄さん!?」
名言するなら、何者かの意志によってこの現状が創り出されている気がしてならない。更に言うならば、“この先は通させない”という執念を感じてしまう。
「邪魔だ!」
殺到する騎士を斬り捨て、ドラゴンの爪を掻い潜る。その際肩を浅く斬られてみると、掠っただけにも関わらずオレのHPは半分も削れた。
「シウネー、回復を兄さんに重点的に回してください!」
「はい、ランさん!」
これまで戦ってきた騎士たちと比べ物にならないフロアボス級のドラゴンが同時に四体。あの世界ならば即時撤退していた所だが――――
「ユウキ、見てるだけじゃいられねぇ。レンのフォローするぞ!」
「勿論!ジュンこそ、油断して死なないでよ!」
「タルケン、テッチ、シウネーの警護任せたよ!アタシは周りの邪魔もの蹴散らすからさ!」
「任せて!」
「は、はい!」
「全く、頼もしい限りだな?リーダー」
「自慢の仲間ですから!」
傍らの妹は目に涙を浮かべながらそう言った。ならば、オレもその末席に加えてもらえるように励むしかない。
「行くぞ、合わせろよラン!」
「はい!任せてください、レン!」
二人同時に翅を全力で広げてドラゴンへ向けて加速する。
オレは大太刀を、ランは直剣を肩に担ぎ、ドラゴンの肩口めがけ振り下ろす。悲鳴を上げてバランスを崩すドラゴンの体躯をなぞる様に滑空し、翼の付け根、大腿部、尾の順番 に斬撃の雨を降らせた。ランはオレの動きに寸分違わずついてきた。その介あってか、ドラゴンのHPは残りわずかになっていた。
「ランは次の奴に!トドメは刺しておく」
「はい!」
オレはこの時、柄にもなく興奮していたのだろう。かつての仲間たちを想起させる光景を前に、全ての懸念材料を忘れてしまっていた。
オレはこの時の決断を一生後悔することになるとは思ってもみなかった。
「ランさん!?」
シウネーの悲鳴が聞こえてきたのは、一体目のドラゴンが地に落ちていくのを見届けた直後のことだった。
聞きなれないシウネーの焦った声に急いでランの姿を探す。
その姿はすぐに見つかった。オレが指示した通り、
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