幕間の物語:スリーピング・ナイツ
第二十話:近づく最期
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不具合でも起こったのかしら」
この世界はゲームだ。
あのナーヴギアの後継機、アミュスフィアの代表的ソフト。そのように元凶である男は自慢気に語っていた。で、あるならば、ゲーム内の異常で思い当たるのは何らかの不具合だろう。
しかし、このアスナの予想は半分は間違っていた。
確かに不具合が起こったのはこのゲームの中だったが、一般プレイヤーが遊ぶ分には何の支障もない。異常が起こったのはこの妖精郷に隠されたとある計画だ。一人の男の狂気から始まる悍ましい企てに関してだ。
ズシン、と地鳴りのような音が響く。何事かと顔を上げたアスナの目の前で、彼女を捕らえる鳥籠と同じ造形のものがもう一つ現れていた。つい先ほどまでこんなものはなかったはずだ。つまり、今の地鳴りに関連のあるもの。
そこまで思考を終えると同時、もう一つの鳥籠に二つの人影が出現した。一人は長身痩躯の男。アスナに背を向けているため顔は見えなかったが、それが誰なのかはすぐに分かった。この世界で皆が目標とする天空都市に住まう妖精王オベイロンにしてこの世界の創造主――――ゲームマスターでもあり、そして、アスナを閉じ込めた元凶でもあった。
そのオベイロンによって鳥籠に投げ込まれたのは、一人の少女だった。長い黒髪をサイドテールに纏めたアスナと同い年くらいの少女だ。
「ユメちゃん!?」
その少女をアスナは知っていた。あの鉄城で出会った情報屋にして、攻略組の槍使い。血盟騎士団の副団長という立場から色眼鏡で見られることの多かったアスナと対等に付き合うことのできた数少ない本当の友人だった。
アスナの声が向こうに聞こえたのだろう。ユメを乱雑にベッドへ放り投げたオベイロンは、アスナの方へ顔を向けた。
「これは驚いた。友人だったのかい、ティターニア?」
「その呼び方はやめて。それより、どういうことなの須郷さん。なんでユメちゃんがこの世界に、それもSAOの装備のままでいるの」
SAOはクリアされ、生き残っていたプレイヤーは無事に解放された。それが、アスナがオベイロン/須郷から聞かされた情報だった。だが、かつて共に戦った戦友が、あの時のままの姿でここにいる。
「嫌だなぁ。確かに僕はそう言ったけど、全員解放されたとは言っていないよ。違うかい?」
「貴方は、一体なにが目的なの」
怒りに身を任せるようなことはしない。もしこの手に剣があればと思わずにはいられないが、それでもアスナは堪えた。
「さて、いずれすぐに分かるさ。その時を楽しみに――――」
再びのアラートが鳴り響く。須郷の表情が不快感で染まった瞬間、彼の前に大型のディスプレイが現れた。そこに映し出されたのは一体のモンスター。ナメクジを巨大化させたような造形に、思わずア
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