幕間の物語:スリーピング・ナイツ
第二十話:近づく最期
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「ジュン、飛び出しすぎですよ!」
「僕がフォローするから大丈夫だよ、タルケン」
剣を携えた白騎士に、弓を構える白騎士。遠近に隙のない騎士団が群れを成して一発の銃弾となったスリーピングナイツを叩き落そうとしてくる。
「もっとスピードを上げます!
―――ついて来れますか!?」
「勿論、補助はお任せください!」
「よぉーーっし! 行くよ皆!!」
「なんでユウキが仕切ってるんだよ!」
楽しいな。互いが互いを信頼して、背中を預ける。こんな感情は、久しく忘れていたが。
「兄ちゃん!」
――ああ。
「悪くない」
大太刀を抜き放ち、先頭を行くランに襲い掛かる白騎士を三体纏めて斬り伏せる。作戦会議で予想していた通り、数こそ問題だが一騎ごとのレベルは高くない。
「流石です、レン!」
「おう、やっと『レン』って呼べたな」
「なっ!? 今そこを指摘しますか!?」
ただ、このまま突破できるとは到底思えない。現在は世界樹の三分の一に到達したところだが、騎士達が生成されるスピードが上へ進むほど早くなっている。それに、出てくる敵もこの騎士たちだけではなくなってくるだろう。
「そら、もたついてる暇はないぞ?」
「言われずとも!」
まあ、どんな敵が出てきたとしても、こいつらが怯むようなことはないだろう。
† †
多くのプレイヤーが焦がれる世界樹の頂点。妖精王の住まう空中都市が存在していると信じられているそこは、実際にはただ白い壁の続くなにかの施設でしかなかった。
その施設の先、巨大な世界樹の幾重にも分かれた枝の一つに、巨大な鳥籠がぶら下がっていた。だがそこに囚われている者の背にあるのは翼と言うには頼りなく、しかし翼よりも美しい翅だった。
「さっきのアラートは何だったの?」
それは少女だった。はしばみ色の美しい少女だ。
かつて鉄の浮遊城にて『閃光』の異名を誇っていたアスナという剣士は、今、囚われの身となっていた。その手に愛剣たるランベントライトはなく、傍らに黒の剣士もいない。
この金色の鳥籠で目を覚ましたのは何時のことだったか。この鳥籠に時計はなく、この世界は現実の時間軸ではない為、日時はおろか、現実世界の今は昼なのか夜なのかも分からない。彼女に出来たことと言えば、彼女をこの世界に捕らえた元凶からの責苦に耐えて、いつ来るとも分からぬ助けを待つことだけだった。
だが、この変化のない日常にたった今異変が起きた。彼女を捕らえている鳥籠に、けたたましい騒音が鳴り響いたのである。その音を聞いた元凶は血相を変えて鳥籠から出ていったため、アスナは少し機嫌が良かったのだが、なにがあったのかと少し気になる。
「なにか
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