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ソードアート・オンライン 少年と贖罪の剣
幕間の物語:スリーピング・ナイツ
第二十話:近づく最期
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 新進気鋭の実力派ギルド。
 血盟騎士団や聖竜連合などの大規模ギルドと比べれば構成人数は雲泥の差だが、一度ギルド間の抗争が始まればかなりいい戦いになってしまうのではないか。つまりは一人一人の戦力がそれほどまでに卓越しているという化け物たちの巣窟―――

 それが、神の盾(アイギス)に与えられたプレイヤー達の評価だった。

 赤装の麗人として名が広く知られている紅蓮の大剣使い、ギルドマスター『ネロ』

 あらゆる武器を自在に操り、その実力はヒースクリフに匹敵すると噂される『レン』

 穏やかな表情とは裏腹に身の丈を覆い隠すほどのタワーシールドで鉄壁を誇る『ダイル』

 機動力に長け、持ち前の快活さで味方を鼓舞するだけでなく、情報収集にも長けていた短剣使い『リン』

 やや生意気だがその剣の実力にはあの黒の剣士も一目置いている大剣使い『シュウ』

 彼らの信条は『守る』こと。現に、彼らが参加した攻略作戦での死亡率はそうでないときと比べると非常に低い数値を記録している。
 何よりも圧巻だったのは、第五十層攻略作戦に於ける『レン』の大立ち回りである。当初予想されていた死者よりも若干多い数だったが、作戦開始直後からの指揮系統の瓦解、プレイヤーの殆どが狂騒状態にあったことを鑑みると、レンの功績が如何に多大なものであったかがよく分かる。
 ただ皮肉にも、レンが英雄として名を轟かせることになったこの作戦が、神の盾(アイギス)壊滅の始まりになってしまうのだが。


 そんなアイギスだが、結成当初、彼らにはもう二人だけ仲間がいた。しかし一人はレッドギルドの策略に巻き込まれ、もう一人は伸し掛かる重責から解放されるため、自ら死を選んだ。
 名をそれぞれ『カムイ』、『カリギュラ』と言った。

 結局、アイギスのメンバーとして生き残ったと()()()()()のは、レンだけだった。



†    †



 今になって思えば。
 オレは、スリーピング・ナイツの皆にアイギスの面影を重ねていたのかもしれない。

 共に戦う仲間を守り抜き、やがてあの城から脱出することを目指していたあの頃は、辛く苦しい思い出ばかりの鉄城の記憶の中で唯一輝いていた思い出だった。
 ただ純粋に、彼らと共にあることが楽しかった。共に戦って、共に冒険して、時にはぶつかり合うこともあったが、それでも、ああ。

 それでもあの時は、楽しかった。


「兄ちゃん、そっちよろしく!」

「ああ、後ろだノリ!」

「おぉっとぉ!? サンキュー、レン!」

 眩い光を放つ世界樹の内部。
 その頂点を目指すオレ達を阻むのは、壁面から溢れ出る夥しい数の白い騎士だ。

「そぉりゃあああ!!」


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