ソードアート・オンライン〜剣の世界〜
2章 生き様
12話 お話と花園で
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が、その前に、強烈な風がロザリアを煽り、その喉には、薄紫色の刃の切っ先が添えられていた。ロザリアの目が、大きく見開かれる。カタカタと手が震え、その目から、一筋の雫が頬を伝った。
「ね、さっき言ったでしょ?本当に死ぬかどうか、実験しようよ。…私が殺してあげるから」
ロザリアの鼓膜を、熱を持ち、高くなった囁き声が耳元で揺らす。その瞬間、ロザリアは意識を手放し、その体は糸が切れたように後ろに倒れ込んだ。
「ありゃりゃ、意識失っちゃったよ」
「ちょっと飛ばしすぎたな」
いつの間にか、依頼者から預かっていた黒鉄宮に出口をセットしてある回廊結晶の渦の中に、だるまになったオレンジたちを放り込んだツカサが首を振った。リアが軽々と気絶したロザリアを持ち上げ、同じように渦に放り込むと、渦は消滅した。
あたりは、小川の流れる音と、鳥の鳴く声だけがシリカの耳を揺らす。襲われたことへの驚き、そして、2人の圧倒的な強さ。そして、恐怖…まぜこぜの感情がシリカを襲い、口がきけずにいた。
そんなシリカのそばに、2人のプレイヤーがしゃがみこんだ。
「ごめんね。シリカをおとりにするような真似して…」
「…悪かった…」
そういって、頭を下げる2人は、いつものリアとツカサだった。やがて、安堵が心を覆った。だが、まだ声を出せずに、かぶりを振る。シリカの反応に、リアとツカサの顔にも、笑顔が浮かんだ。
「街まで送ってくよ」
そういって差し出されたリアの手に、シリカは再び迷うことなくつかまった。
「リアさん、ツカサさん…もう、行っちゃうんですか?」
35層の宿屋に戻り、リアとツカサの部屋のベッドに3人は腰を下ろした。窓からは柔らかい夕日が部屋を照らしている。
「そうだね…またいろいろと依頼入ってると思うから」
「そう、ですよね…」
オールラウンダーの2人は、目が回るほど忙しいというし、危険な場所にだって行くという噂だ。わかっているのに。シリカの思いは涙となって流れ落ちる。
不意に、何度か感じたことがある温かさを頭に感じた。涙にぬれた顔を上げると、リアが優しい笑みを浮かべていた。
「この世界のレベルだなんて、ただの幻想だよ。何処にいたって、どんなになったって、シリカは私たちの大切な友達ということには変わりないんだから」
言い聞かせるようなリアの低めの声は、シリカの胸に真っすぐ入ってきた。さらに涙がこぼれそうになった時。
「…シリカ」
それは驚くことに、ツカサの声だった。すると、手を取られ、その中に何か丸いものを握らされる。驚いた顔をして見上げるシリカに、ツカサは微笑みながら頷いた。そ
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