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ソードアート・オンライン〜剣と槍のファンタジア〜
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2章 生き様
12話 お話と花園で
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いた。その足に巻き付いているのはシリカの腕ほどもある太い触手。

 一言で表現するとしたら歩く花。リトルネペントの頭が向日葵のような形状になったような姿かたちだ。植物系モンスター“ガーリッシュ・ガーベラ”。リトルネペントと違う点は、攻撃判定がある触手だろう。普通はそれを振り回したり突いたりして攻撃してくるのだが、なぜかそれはシリカの脚に絡みつき、彼女をさかさまにつるし上げたのだった。

 シリカのスカートは仮想の重力によってめくられて…と、シリカがパシリとスカートのすそを抑えた。

「り、リアさぁーん!」

 シリカの悲鳴を聞いて、リアは小さな声で問うた。

「…ツカサ君、目、閉じてる?」
「……ああ…」

 その返事を聞くと、リアは剣を握りなおし、ザンッという空気を鳴らし、一瞬にしてガーリッシュ・ガーベラの弱点である首根っこを切り落とした。まさに、「あっ」という間である。そして、空から落下してきたシリカを腕の中に抱き留めた。つまり…俗にいう、お姫様抱っこで。

「大丈夫?」

「ヒェッ!だ、大丈夫です!」

 シリカは奇妙な声を上げて、その顔を真っ赤にさせる。リアはシリカに微笑みかけた後に、そっとその体を下した。シリカは赤い顔のまま、スカートを数回払う仕草をする。

 

 にこにこ笑うリア。赤い顔のシリカ。微妙な沈黙が流れる中、ぼそりと唯一の男の声がした。

「…もう目、開けていいか?」












 そんなこんなで、リアとツカサがサポートをしながらシリカがモンスターを倒すということをやっているうちに、丘の頂上に着く前にシリカはたちまちレベルを一つ上げた。


「ほら、シリカ。あの岩の上に花があるはずだよ」


 丘の頂上付近はモンスターがポップすることはない。シリカはリアの言葉を聞くと、2人の元を離れ、待ちきれないというように岩場まで走る。そして、シリカの胸ほどまである岩の上をのぞき込むが…

「ない…ないよ、リアさん!」
「大丈夫だよ、ほら」

 シリカに追いついたリアが、シリカにもう一度見るように促す。涙目になっているシリカがもう一度見ると、今まさに、一本の芽が伸びていくところだった。

 それは、花の成長を早回しで見ているようだった。双葉から茎がみるみるうちに伸びていき、そして小さな蕾ができる。それは膨らんでいき、やがて鈴が鳴るような音とともにほころんで、光り輝く美しい花を咲かせた。


 なんとなく、触れない気がして、シリカは振り向く。リアがこくりと頷くのを見て、シリカもうなずき返し、その茎に手をかける。それはすぐに手折れて、シリカの手の中には花だけが残った。それをアイテムストレージに収納する。アイテム名“プネウマの花”。

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