暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜雷公の狩人〜
プロローグ

[2]次話
「そらよっ!」
鈍色に光る剣と、俺の刀がぶつかり合う。
その剣を弾きながら、俺はバックダッシュしつつ、武器を展開する。展開した武器は弓。この世界に本来存在しないはずの武器である。
「ハァッ!!」
紅い光を帯びて弓から放たれたその矢は拡散し、リザードマンロードに突き刺さっていく。が、決定打にならずにリザードマンロードのHPを残してしまう。
「やっば!」
再度弓に矢をつがえようとすると、
「ぐるあっ!!」
凄まじい咆哮と共に、リザードマンロードが地を蹴る。遠間から、シミターが鋭い円弧を描いて俺の懐に飛び込んでくる。空中に鮮やかなオレンジ色の軌跡が眩く輝く。曲刀カテゴリに属する上位ソードスキル、≪フェル・クレセント≫。
その剣尖は俺に届く…前にその動きを止めた。
「何をしてるんだお前は…」
声とともにリザードマンロードが長い断末魔を振り撒きながら、ガラス塊を割り砕く様な大音響と共に、微細なポリゴンの欠片となって爆散した。
これがこの世界における≪死≫。瞬時にして簡潔。一切の痕跡を残さない完璧かつ完全なる消滅。
視界中央に紫色のフォントで浮き上がる加算経験値とドロップアイテムリストを一瞥し、弓をストレージに戻すと声のした方を向く。
「わりぃ。助かったよジンオウガ」
「ふん」
翡翠色の鱗を持つ狼___ジンオウガはそれだけ言うと定位置の頭の上に乗っかる。
「なんだよー。不貞腐れてんのか?」
「別に何でもない。それより時間はいいのか?」
ジンオウガに言われて、時間を確認する。現在時刻は、既に午後三時。そろそろ迷宮から出ないと夜飯を食いぱぐれる。
「キリトの奴はどうしてるかなぁ…」
相方である片手剣使いの少年の事を心配しつつ、俺はジンオウガを前で抱きかかえながら歩きだす。
「しかしモフいなお前。本来の姿があんだけごついのになんでSD化はモフいんだ?」
「俺が知るか!!」
ジンオウガは暴れながら文句を言い放つが俺は完全にスルーする。
ジンオウガの声をBGMにしながら、俺は迷宮区の入り口に足を動かした。
[2]次話


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