第三十五話 北の大地その九
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「もう凄いからね」
「麻雀のプロはか」
「おいらはまだまだだから。二十歳でプロになった人なんかは」
淳二は半ば笑って半ば真剣で久志に話した。
「天才って言ってもいいから」
「二十歳でプロか」
「その歳で十段になったんだ」
「剣道だと有り得ないな」
首を傾げさせてだ、久志は淳二のその話に唸った。
「それこそな」
「精々三段?」
「それ位だな」
「じゃあその人がどんな人かわかったかな」
「そのつもりだよ、とにかくな」
「博打する?」
「いや、いい」
久志は淳二のその誘いは断った。
「とりあえずこっちの世界ではそんな場所今は見えないしな」
「近くの街までこの調子だと三日ですね」
「歩いてだとか」
「はい、それ位です」
「三日か」
「北北西に進みますと」
三日程歩いてとだ、順一が地図を見つつ久志に話す。
「コペンハーゲンに着きます」
「結構大きい街か?」
「この世界の街ではそうなりますね」
「そうなんだな」
「少なくともこの辺りで最も大きな街です」
それがコペンハーゲンという街だというのだ。
「その近くに行けば村もあるそうです」
「つまりあと三日は村もないか」
「そうです」
まさにというのだ。
「暫くは」
「本当に人口が少ないな、北は」
「他の場所だったと一日歩いたら村の一つ位あるからな」
正もこう言う。
「馬だけどな、この場合は」
「ああ、それが三日だからな」
「やっぱり人が少ないな」
「それだけ人口が少ないんだな」
北はとだ、久志はこのことをしみじみと思った。
「寒いとな」
「人間ってのは本当に快適な場所に住むな」
「生きものの習性ってやつだな」
「本当にな」
「じゃあ三日、夜は休んで昼は進んで」
源三は今も明るい、見れば今はチーズを食べている。
「そうして進んでいこうね」
「そうでござるな、では途中モンスターが出れば倒してでござる」
「三日歩いてね」
「コペンハーゲンへ行くでござる」
一行はその北北西に進んでいった。そして実際に三日程歩くと雪原の中に城壁に囲まれた街を見た。久志はその街を見てしみじみとした口調で言った。
「やっとだな」
「うん、三日間お昼はずっと歩いてね」
「着いたな」
「本当にようやくだね」
「何しろ雪を歩いてきたからな」
久志は足元も見て言った、その雪原を。
「余計に疲れたな」
「雪だとね」
「ああ、本当に歩きにくいな」
「ブーツでもね」
その雪や氷の上を歩く為のそれを履いて進んでいてもだ。
「それでもね」
「しんどかったぜ」
「こういうのは慣れだね」
「雪の上を歩くのもな」
「これが日本でも東北の人なら別だけれど」
「神戸にいるとな」
「ちなみにおいらも東北生まれじゃ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ