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レーヴァティン
第三十五話 北の大地その七
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「それで春まで過ごしてね」
「相当おかしくなってたか」
「あんまりにも大きいと冬眠用の穴もなくて」
 それでというのだ。
「冬眠し損ねる熊もいてね」
「そうした熊はやばいんだな」
「うん、人のいる場所にも来てね」
「襲ったりもか」
「するから」
「そうした熊だったから俺達にも襲い掛かってきたんだな」
「実際モンスターはともかく獣と戦ったことは殆どないよね」
 淳二はこうも問うた。
「そうだよね、これまで」
「モンスターとかならず者ばかりだな」
「それだよ、マンティコアとかみたいに規格外に狂暴なのがモンスターだけれど」
 しかしというのだ。
「獣はね」
「そこまでしないか」
「うん、だからさっきの狼達もね」
「襲い掛かって来なかったんだな」
「そうだよ、狼はいい生きものだよ」
 淳二は笑ってこうも言った。
「犬の基でもあるし恰好よくて誇り高くて」
「やけに狼上げ激しいな」
「だって好きだから」
 淳二は笑ってこのことを認めた。
「狼が」
「そうなのか」
「草原の覇者っていうしね」
 この呼び名も好きでというのだ。
「好きだよ」
「だからか」
「そう、あの狼達も飼い慣らすとね」
「犬になるんだな」
「犬も好きだよ、おいら」
 笑ってこうも言った淳二だった。
「可愛くて恰好よくてしかも番犬にもなる」
「犬も好きか」
「のらくろもね」
「そこで漫画か」
「あの漫画は名作だよ」
 今の日本では伝説の漫画作品と呼ばれている、尚原作者の田川水泡は文学者として名を遺した小林秀雄の妹婿でもあった。
「まさにね」
「野良犬が主人公だったな」
「元ね」
「それが軍隊に入るんだったな」
「確か大尉までなるから」
 つまり士官にまで昇進するのだ。
「日本の陸軍にね」
「帝国陸軍だな」
「海軍だったら特務士官だね」
「何だそれ」
「海軍じゃ士官学校とか特別な学校を出ていないとね」
 これは実際だ、機関学校だと機関士官となり経理学校だと経理士官と出た学校によって呼び名も待遇も違っていたのだ。
「一般兵士出身だとね」
「特務士官か」
「そうなっていたんだ」
「何か変な呼び方だな」
「実際士官扱いでもね」
 階級はそうでもだ。
「立場は兵学校出身の人に比べて低かったらしいよ」
「そうだったんだな」
「それは海軍でね」
「陸軍は違ったか」
「そうだったんだ」 
 それがというのだ。
「のらくろみたいに一般兵士出身でもね」
「野良犬でもだな」
「士官になれたから」
「功績を挙げるとか」
「うん、何か今でも自衛隊海自さんは結構ね」
 自衛隊でもこちらはというと。
「入口社会みたいだよ」
「それ本当かよ」
 首を傾げさせてだ、正も淳二に問うた。
「出来
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