第百三十六話 鍛錬をしてその十一
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「だから私はそうした輩になりたくない」
「そう思っているんだ」
「絶対にな」
「そこまで思っていてなんだ」
「いつも気をつけている」
「それでだね」
「気をつけている、心は確かに持たないとだ」
武道をするにしてもというのだ。
「暴力を振るうだけになる」
「棒六を振るったらね」
「人間として見下げ果てた奴になるからな」
留美さんが誰よりも忌み嫌い蔑んでいる、だ。
「なりたくない」
「だからだね」
「自分を保ってだ」
そしてというのだ。
「これからも剣道をしていきたい」
「そちらも頑張るんだね」
「是非な」
こうした話をしつつだ、僕達は一緒に下校していた。すると不意に円香さんが上を見上げて言った。
上はもう紅の夕焼けになっている、それまで青かったお空ももう赤くなってそこから紫になっていく。
その夕暮れの空を見上げてだ、円香さんはこんなことを言った。
「あの飛び方は烏ではないですね」
「ああ、あれね」
空を飛ぶ小さな生きものを見上げてだ、僕は円香さんに答えた。
「あれは蝙蝠だよ」
「そうですね」
「うん、それだよ」
その生きものだと答えた。
「あれはね」
「そうですね」
「この辺りは蝙蝠もいるんだ」
烏もいるけれどだ。
「だからね」
「ああしてですね」
「この時間辺りから飛ぶ様になるんだ」
勿論夜も飛ぶ、夕暮れの時から飛びだすのだ。
「ああしてね」
「そうですね」
「そしてね」
僕は円香さんにさらに話した。
「別に怖くないからね」
「はい、そうですね」
「知ってるよね、蝙蝠のことは」
「はい、実はですね」
円香さんも蝙蝠のことを話す、飛んでいる彼等は遠目では黒い点に近くて烏と中々区別がつかない。けれどよく見ると飛び方が違う。
「血を吸いませんし襲ってもきません」
「むしろ蚊とかを食べてくれるから」
「いい生きものですね」
「そうだよ、血を吸う蝙蝠はね」
それこそだ。
「ブラジルとか位にしかいないから」
「チスイコウモリですね」
「そうそう、それね」
蝙蝠と言えばこの蝙蝠を言う人がいるけれど日本にはいない。そしてドラキュラ拍車の地元ルーマニアにもいない。
「日本には絶対にいないから」
「ですから怖がることはないですね」
「あの蝙蝠が怖いのは」
何故そう言われるかというと。
「血を吸っても死なないけれど」
「狂犬病ですね」
「あの病気を感染させるから怖いんだ」
だからブラジルではかなり恐れられているらしい。
「あの病気は感染したら危ないからね」
「そうですよね」
「まあ蝙蝠はね」
日本にいる種類はだ。
「気にしなくていいよ」
「怖がることはありませんね」
「うん、だからね」
それでだ。
「普
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