第百三十六話 鍛錬をしてその九
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「そうした人にはなりたくないです」
「その輩が何段でもだな」
「はい」
段位に関わりなくというのだ。
「絶対に」
「それがわかっているといいと思う」
「心と段位は違う」
「段位が幾ら高くともだ」
武道のそれがだ。
「心の鍛錬が出来ていない輩がいる」
「武道ではなく暴力をですね」
「行っている輩がな」
「そのことをわかっているとですね」
「私はいいと思う」
「そうですか」
「そうした輩程自分に甘く他人に厳しい」
そうした性根だというのだ。
「自分に厳しくだ」
「他人に優しくですね」
「そうあるべきだ、それが出来なくともだ」
自分に厳しく他人に優しくだ。
「ぜめて他の人には優しくないとな」
「よくないですよね」
「そうした輩にはなってたまるか」
とにかく留美さんの言葉は強かった、かなり強い決意がそこにあった。
「今もそう思っている」
「それもいつもですね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「思い続けている」
「そうですか」
「ヤクザ者の技ではないからな」
武道についてだ、留美さんはこうも言った。
「断じてな」
「色々とあったのですね」
「剣道はどうしてもだ」
「竹刀と防具があるから」
「余計にだ」
そうした暴力を振るう不逞の輩が存在してしまうというのだ、若し相手が傷つかずしかも自分が武器を持っていれば確かに心無い輩は暴力を振るう。
「そうなってしまう」
「暴力を振るえる道具とですか」
「身体を守るものがあるからだ」
「怪我もさせないので」
「気兼ねなくだ」
暴力を振るう方としてはだ。
「それが出来るからな」
「暴力を振るう人も多いですか」
「そして実際に酷く振るう」
「嫌なことですね」
「何度も言うが暴力は武道ではない」
「むしろですね」
「それを抑える修行をするものだ」
それが武道だというのだ。
「そうした輩がいるから武道が腐るのだ」
「全くですね」
円香さんも留美さんのその言葉に頷いた。
「私もそう思います」
「そうか、君もか」
「はい、暴力はです」
まさにそれはというのだ。
「力だけが強い者が弱い人をいたぶる」
「そうしたものだな」
「力だけがです」
「そうだ、そうした輩は腕力が強いだけだ」
暴力を振るう輩はというのだ。
「ただそれだけだ」
「そうですね」
「そうだ、私は心が強くなりたい」
「腕力ではなく」
「腕力だけが強いならだ」
それならというのだ。
「ゴリラにでもなるべきだ、いや」
「いや?」
「ゴリラは森の賢人だ」
僕も知っている言葉だ、実はゴリラは外見は怖いがだ。
「非常に賢明で大人しい生きものだ」
「平和主義だね、ゴリラは」
僕はここで留美さんに言った。
「
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