第百三十六話 鍛錬をしてその七
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「私が思いますに」
「だといいがな」
「そうですね、あとです」
「あと。何だ」
「いえ、留美さんは我と言われましたが」
「そのことか」
「やっぱりお寺の方ですね」
「そうだな、それはな」
留美さんはまず表情で頷いて円香さんに答えた。
「私も思う」
「我を捨てて解脱に至るですね」
「まさに仏教の考えだな」
「そうですね」
「剣道もだ」
それもというのだ。
「仏門の修行の一環だとだ」
「考えておられますか」
「そうだ」
「やっぱりそうですか」
「うむ、パパいや」
咄嗟にだ、留美さんはお顔を真っ赤にさせて表情を慌てたものにさせて咄嗟に打ち消して言った。
「お父さんからな」
「言われたのですか」
「そうだった」
「いや、違った」
「違いましたか」
「ママ、いや」
また同じ顔になって否定した。どうも留美さんは実家ではご両親をそうした呼び方で通しているらしい。
「お母さんからな」
「言われたのですか」
「うむ、武道もだ」
「仏門の修行ですか」
「空手や少林寺もそうだが」
「仏門の方でもですね」
「身体を鍛えると共にだ」
「心もですね」
そちらもとだ、円香さんも頷いて返した。
「鍛えるべきだと」
「そう言われてだ」
「やられているのですか」
「はじめてみると面白くてだ」
「それで、ですか」
「今もしている」
その剣道をというのだ。
「励んでいる」
「そうなのですね、実は私もです」
円香さんは今度は自分のことを話した。
「お父さんとお母さんにです」
「言われてか」
「合気道をはじめたのですが」
「自分に合っているか」
「そうでして」
それでというのだ。
「今もしています」
「そして二段だな」
「そうなっています」
「私も二段だ」
剣道はというのだ。
「これからもやっていく」
「いいことですね」
「大学に進んでもな」
それからもというのだ。
「剣道をしていく」
「そうですか」
「そして段もだ」
こちらはあまり関心がない感じだった、聞いていて思った。
「進んでいくが」
「段もですか」
「しかしだ」
「段については」
「後でついてくるものだからな」
剣道や合気道のそれはというのだ。
「だからだ」
「特にですか」
「気にしていない」
そうだというのだ。
「私はな」
「段が高いといいとです」
「君は考えるか」
「どちらかといいますと」
そうだというのだ。
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