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普通だった少年の憑依&転移転生物語
【ハリー・ポッター】編
225 露見された帝王
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クラウチ・ジュニアはヴォルデモートの命令通り杖をロンに向けていて、何故かボクVSヴォルデモート、ロンVSクラウチ・ジュニアとな状況になっていた。

『アニーなら出来る』

「(……うん、ボクも出来そうな気がする)」

仮にも≪闇の帝王≫と(うた)われた存在であるヴォルデモートと対峙するのだ、些か緊張してしまっていたがロンからの念話で精神が落ち着いた。

(……我ながらゲンキンだなあ…)

ロンからの激励でリラックス出来るなんて自身の単純さにほとほと呆れながら、ボクも杖を構える。意外な事に、ヴォルデモートにも騎士道精神みたいなものがあったらしく、ボクが杖を構えるのを待っててくれた。

「俺様が直々に遊んでやりたいものだが俺様も忙しい身だ」

「よく言うよ、ダンブルドア校長先生が怖いくせに」

「口うるさい小娘だ。……だが貴様は死に逝く身だ。寛大な俺様は(ゆる)してやろう」

「ご託はいいよ」

「“息絶えよ(アバダ・ケタブラ)”!」「“武器よ去れ(エクスペリアームス)”!」

ヴォルデモートが放った死の呪い≠ニボクが放った武装解除呪文≠フ呪詛が中央地点で衝突する。まるでボクの杖が、ヴォルデモートから呪文が放たれるタイミングと、放つ位置を知っているかの様だった。

ぶつかりあった二つの呪詛は、中央で緑と赤の光る糸を()り合わせて球を作ったかの様になっていた。

「……っ…!!」

今でこそあの光球はボクとヴォルデモートのちょうど中間にあるが、押し切られてしまった場合なんて考えるまでもない。……ゆえにボクは全ての力を振り絞る。

……しかし無情にも、糸≠ヘ光の球をボクの方に押しやると共に緑≠フ6割、7割とその割合を少しずつではあるが増やしていく。それはボクとヴォルデモートの力量の差でもあった。

(やが)て光の球はボクと目と鼻の先まで来て、ボクの杖を激しく揺らす。ヴォルデモートは死の呪い≠放っている。光の球が少しでもボクに触れたら、ボクは間違いなく死ぬだろう。

……可視的な死≠ェ迫りくる今際の際。ボクの中で何かが弾けた。

(……ロンに──真人君に抱かれる前に死ぬ…? ……そんなの…)

「……っ、そんなの──冗談じゃないっ!」

ここで死んだら、ハーマイオニーに正妻ポジションを譲ったのが無意味になってしまう。……だからボクは声を張り上げる。殺られてたまっか、こんちくしょうめ!>氛氓ニ。

……するとどうだろうか、寸でのところまで差し迫っていた光の球を押し返す事が出来た。それからはさっきと同じパターンではあるが今度はボクの赤≠ェヴォルデモートの緑≠3割…5割…7割…9割と、押し返していく。


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