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普通だった少年の憑依&転移転生物語
【ハリー・ポッター】編
212 ≪死の飛翔≫
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すると…

(かたき)の血──力ずくで奪われ。……汝は…敵を蘇らせん…っ」

「っ…!」

ペティグリューの短剣がボクの腕を切りつけた。ほどなくしてじわり、とシャツに鮮血が滲む。その痛みには何とか耐えられたが、ペティグリューはそれからポケットから出した(びん)をボク傷口に押し付けるようにして、ボクの血液を採取する。

……やはりこいつら≠ヘボクの血を欲していたのだ。

ボクの血を採取したペティグリューは、大鍋のあるところに──血を流しすぎているのだろう、おぼつかない足取りで向かい、半ば予想出来た事だがボクの血を大鍋の中に入れた。

劇的に変化していく大鍋を観察している最中、またもやロンからの念話が入る。

『……大丈夫だったか、アニー』

「(何とかね。……もうこの場に用は…?)」

『殆ど無いな。だからもうトンズラだな』

「(でも、ボクの杖が…)」

『今呼び寄せ≠スから心配無し。……縄もほらよ──それから、杖もな』

ロンによって僕を縛っていた縄が切られる。恐らく切断呪文&モりだろう。ついでとばかりに杖もロンの方からふわふわ、と飛来してきた。こちらは浮遊呪文≠ニみていいだろう。

「(ん、ありがと。……で、作戦の概要は?)」

『俺が隙を作ってアニーと合流するから、アニーは優勝杯を呼び寄せ≠トくれ。カウントはさっきみたいに3、2、1でやる』

「(解りやすくていい作戦だね。……判ったよ、カウントダウンはロンに任せる)」

『よしいくぞ──3…2…』

「“暗き闇よ(オブスクーロ・マキシマ)”」

(速っ!)

ロンの杖先から出てきた純黒の煙が辺り一帯の全てを──大鍋涌いて出てきた人形(ひとがた)にしろ、先ほどボクが出した光≠ウえも呑み込む。そしてその次の瞬間には背後にロンが立っていて、ボクの肩に触れていた。

(瞬動≠ゥな──じゃなくて、今は…)


――“来い(アクシオ)”!


考察は一旦置いておき、ボクも手筈通りに優勝杯を呼び寄せ≠驕B……そこで漸く移動先≠ェちゃんとホグワーツになっているかが不安になるがもう既に時は遅し。一秒もしない内に優勝杯──移動(ポート)キー≠ノ触れたのを感じた。

――「アニー・ポッタァァァっ!!」

最早慣れてしまった、身体の中心部を上に引っ張られる様な感覚。ピーター・ペティグリューを急かしていた声の主の、地を震わせる様な怒声を聞きながらボクとロンは墓場から移動≠オていく。

……今のところ、ちゃんとホグワーツに帰れるかは定かではないが、一つだけ何となくだが判った事がある。

闇の帝王──ヴォルデモート卿は今夜復活したのだ。

◇◆◇
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