第48話 物語の終わりと、始まり【挿絵あり】
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再現していたのかも知れない。
最初は恥を忍んで変身ポーズを練習していた樋稟が、徐々にそのノリに馴染んでいったのと同じように、彼女達の活躍を目の当たりにしたアメリカの人々は、少しずつ「救芽井エレクトロニクス」を認めていくようになったのだ。
一人でも多くの人命を救うためならば、火の中でも水の中でも、強盗現場にでも駆け付ける。そんな彼女の姿勢は自然と人々を惹き付け、着鎧甲冑のあるべき姿を知らしめていった。
そんな折、「救済の龍勇者」を生み出した救芽井家の祖国である日本にも、着鎧甲冑のシェアを広げようという話が持ち上がっているのだ。甲侍郎も、この件のインタビューには好意的なコメントを残しており、既にアメリカ国内のニュースでは、決定事項であるかのように報道されている。
日本でもこのことは大きく取り上げられ、「アメリカで話題の『ヒーロー製造会社』、日本上陸か!?」という見出しが、全国新聞の一面を独占する事態に発展していた。
それに伴って世間の話題をさらっていたのが、「救芽井樋稟には婚約者がいる」というニュースだった。
日本への「着鎧甲冑」の進出、ということもあってか、多くの日本人ジャーナリストがアメリカ本社へ詰め掛ける中、突然発覚した大事件である。
実は日本進出の際、資金援助の話を持ち掛けていた資産家が、提携を断られる一幕があったのだ。資金援助の条件として、「その資産家の当主と、樋稟との結婚」が挙げられていたことが、その理由である。
樋稟はその類い稀なる美貌とプロポーションから、救芽井エレクトロニクスのコマーシャルを務めており、アメリカ国内でもアイドル的に扱われている。そのためファンも数多く存在していた。その彼女が資金援助を理由に結婚を迫られた、というだけでも十分に大事件と言えよう。
しかし、それだけでは終わらなかった。資産家側が断られた理由が、「樋稟には既に婚約者がいる」というものだったからだ。
余りの美しさと気高さから、絶対不可侵の美少女と謳われていた彼女に、婚約者がいる。そのニュースにファン一同は困惑を隠せずにいるという。
以上のようなニュースの数々が、今現在、世間を賑わせているのだ。
そんな中で、賀織は一抹の不安を感じずにはいられなかった。救芽井エレクトロニクスの日本進出。そして、樋稟の婚約者。
彼女が龍亮から聞き出した、龍太の事情を鑑みれば、これは本人への求婚のサインとも取れる。より早くシェアを広げるより、樋稟の幸せを優先する救芽井家の対応を見れば、彼らが本気で龍太を婿に取ろうとしている事実は明白であるからだ。
だが問題なのは、それだけではなかった。
「……いかんいかんいか〜んっ! 龍太が、龍太が取られてまう〜っ!」
「あのなぁ、まだそのネタ引きずんの?」
――肝心の本人が
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