第48話 物語の終わりと、始まり【挿絵あり】
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いたのだ。
そんな人々への回答として、救芽井家が提示したもの。それは、「救済の龍勇者」の「二分化」であった。
「救済の先駆者」を開発していた当初から視野に入れられていた、「機動隊への適用」。それを「兵器」にならない程度に行うことで、可能な限りの譲歩をする、というものだったのだ。
本分であるレスキュー用に特化した「R型」。警察用の特殊防護服として改修された「G型」。「救済の龍勇者」のバリエーションは、その二種類の型式に分割されたのだ。爆発反応装甲により、着鎧する人間に与えるダメージを最小限に抑え込む、という新機能つきで。
特許権を後ろ盾に、兵器化の声を強引に封殺してしまうのは容易である。しかし、そんなやり方は、武力にかまけて着鎧甲冑の兵器化を強行しようとした「技術の解放を望む者達」と何ら変わらない、無情な独裁に過ぎない。
だからこそ、あくまで「兵器にはしない」スタンスを維持しつつ、最低限の自衛機能を備える「G型」を敢えて生み出すことで、「戦うこと」も「守ること」もできる着鎧甲冑を作り出したのだ。
それが、「技術の解放を望む者達」を率いる古我知剣一をはじめとした、兵器化を望む人間達へ、救芽井甲侍郎が出した答えであった。
大声を上げてモノを要求する人間に対して、ある程度それを譲歩すると、毒気を抜かれて「大声」を上げられなくなるもの。それ以降も喚いていれば、それが滑稽に映るからだ。
「押して駄目なら引いてみる」という言葉があるように、「呪詛の伝導者」を参考に設計された「G型」の誕生は、多くの軍用派を萎縮させる結果を生んだ。非殺傷の電磁警棒を除いた装備や、改造・分解を禁じた「G型」は、FBIやインターポールによって積極的に運用されている。
もしこの措置がなければ、今頃は第二の「技術の解放を望む者達」が現れ、救芽井家が再び窮地に陥っていたかも知れない。その可能性に気づき、対策を講じることが出来たのは、一煉寺龍太の活躍が大きい。少なくとも彼を知る救芽井家の面々は、そう感じていた。
「救済の龍勇者」という名も、あのイブの夜に樋稟が見た、彼の勇気にあやかったものである。外国語を苦手とする本人は、それを理解してはいなかったが。
こうして、救芽井エレクトロニクスは「救済の龍勇者」を代名詞的商品とし、数は少ないながらも、平和と人命を守る日々を送るようになっていた。レスキュー隊では「R型」が、警察組織では「G型」が。それぞれアメリカ国内で活躍を始めている。
そして剣一が胸中で案じていた問題は、「兵器化に頼らず、人々を救い続ける」と決意した樋稟が紛する「救済の先駆者」の活躍により、少しずつ解消されようとしていたのだ。その姿は、甲侍郎が着鎧甲冑のモデルとしていた、古きよき昭和の特撮ヒーローを
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