暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第45話 終わりよければ全てよし
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を去れるように。

 ◇

 俺の脳内予定の上では、もっと他にいろいろなところを回っていくつもりだったのだが、初めてのダンスパーティにハッスルし過ぎてしまっていたらしい。
 パーティが終わる頃には、時刻は既に十一時半を過ぎていたのだ。

 せっかくの最後の外出だったのに、ほとんどダンスだけで時間を潰してしまった。その事実に青ざめる俺だったが、救芽井はそのことで怒ることはなかった。

「ありがとう……すごく、楽しかった」

 それどころか、そんなお礼まで言ってくれたのだ。その時の切なげな表情を見れば、もっといろいろと見て回りたかった気持ちがあったことくらい、俺でもわかるのに。
 ここまで来て気を遣われるなんて、ほとほと俺も堕ちたもんだなぁ……。彼女はきっと大人だから、その辺もしっかりしてるんだろう。

 だが、落ち込んでいる暇はない。
 こうなれば、せめて見送る瞬間までは笑顔でいないとダメだ。変にテンションを下げて、これ以上気を遣わせたら男の尊厳にかかわる!

 ……つっても、とうとう変態のレッテルは剥がせなかったみたいだけどね。別に救芽井との結婚までは望まないから、せめて普通に呼ぶようになって欲しかったよ……グスン。

 大急ぎで救芽井家まで引き返した頃には、既に家族全員が出発準備を終えているようだった。
 大型トラックに荷物(と古我知さん)を全て積み込み、救芽井とゴロマルさんが暮らしていた家からは、「救芽井」の札が無くなっている。

「おぅ、二人とも! 随分と遅いお帰りじゃったのう」
「お帰りなさい。いい思い出は、出来た?」

 トラックから身を乗り出したゴロマルさんと華稟さんが、俺達を出迎える。救芽井は笑顔でピースサインを送ると、クルリと俺に向き直った。

「じゃあ、私達……帰らなくちゃ。ありがとう。本当に、ありがとう……」

 救芽井の、どこか悲しげな笑顔。それを見ていられなかった俺は、必死に言葉を探す。
 変態呼ばわりをやめて欲しいのも、見送る瞬間には笑顔でいて欲しいのも、全ては「終わりよければ全てよし」とするためだ。
 彼女がちゃんと笑ってくれなかったら、変態呼ばわりのまんまで終わる以上に後味が悪い!

「最後なんだぜ? もっと笑おうよ、ずっと変態扱いのままでもいいからさ!」

 結局口にしたのは、そんなストレートな主張でしかなかった。こんな時に気の利いた台詞が言えない、俺のボキャブラリーが恨めしい……!

「ふふ、あなたらしいわ。ずっとそのこと、気にしてたの?」
「あ、当たり前だろ!」

 一方で、向こうは俺の死活問題を相当軽く見ていたらしい。思わずじだんだを踏み、憤慨してしまう。

「樋稟、零時を回った。急ぎなさい」

 すると、彼女越しに甲侍郎さんの呼び声
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