第45話 終わりよければ全てよし
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た途端にコレかいッ!?
マ、マズい! これは計算外だった! どう答えればいい!? どんな選択が一番好感度の上がるコマンドになるんだ!?
「あ、あー……んじゃまぁ、せっかくだし――踊るか?」
――ドサクサに紛れて俺も何言ってんだァァァッ!?
なに流されてんだ! しかもなんだその生返事! 仮にも擬似デートだぜ!? リアルギャルゲーなんだぜ!?
あぁ救芽井が俯いてる! もっと顔真っ赤にしてる! 絶対笑ってる!
待って! 今の取り消すから! 俺の気の迷いだったから! だから変態からの格下げだけはらめぇぇえぇえ――
「うん、いいよ……」
――えぇえ?
「い、いいのか?」
俺がほうけた顔で確かめると、彼女は少し俯いたまま、こくりと小さく頷いた。
え? なに? つまり――オッケーってこと?
「は、早くエスコートしてよ。時間が、ないんだから……」
俺にゆっくりと手を差し出す彼女の顔は、茹蛸のように赤い。熱でも出してるんじゃないかってくらい、赤い。
そして、瞳も潤んでいる。蒼く透き通った眼差しが、俺の姿を捉えて離さない。
こんな顔をされて、今さら引き返せる男がいるんだろうか? 多分、いないんじゃないかな。
「お、おぅ……」
俺は指先が震えないように無心を心掛け、そっと彼女の手を取ると――吸い込まれるかのように、今まで避けつづけていた世界へと、踏み込んで行った。
――俺が弱いわけじゃない。彼女の魅力が、ヤバ過ぎただけだ。
そんな言い訳を心の中で並べながら、俺はカップル達に混じっていく。
「お、俺、実はこういうの初めてでさ……」
「う、うん。私も……」
……って、あれ? こういう社交ダンス、救芽井も初めてだったのか?
てっきり、こういうのは慣れてるもんだと思ってたんだけどなぁ。それであわよくば、リードしてもらうつもりだったんだけど……。
「……お父様が厳しくて、今まで誘われたことなんてなかったから……」
「――じゃあ、見様見真似でやってみるか。お互い、素人だしな」
「……ふふ、そうね。お互い様、だもんね……」
そういうことなら、仕方ない。成り行き上こうなったんだから、最後までやるしかないんだし。
俺達は周りの動きに合わせて、ぎこちなく手を取り、足を動かし、視線を交わす。
ちゃんと練習してきたカップルと比べれば、グダグダと言わざるを得ない出来だったはずだが――救芽井は終始、満面の笑みをたたえていた。
何がそんなに嬉しいのかはよくわからないし、ド素人の俺には、深く意味を考える余裕もなかった。
だけど、「彼女が喜んでる」。その事実がある限り、俺も笑顔を絶やさないように心掛けていた。
――せめて彼女が笑顔で、この町
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