第44話 袋詰めの古我知さん
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「……なら、どこかで見守っていて下さい。あなたの『思想』は、私達救芽井家の力をもってして、必ず打ち破って見せます」
どうやら、古我知さんは今のままだと、救芽井達も同じ道をたどる、と言いたいらしい。
それに対して救芽井は、古我知さんの「産物」に続いて「思想」まで破壊すると宣言した。絶対に負けられない、と険しい顔をして。
古我知さんは、そんな彼女の姿勢を前に「フッ」と不敵に笑うと、ズルズルと身を引きずって俺達に道を空ける。
……なんだろう。すごくマジメな話をしていたはずなのに、彼の格好のせいでシュールなやり取りにしかなってない気がする。
まぁ、そんなことを考えていたって、モチベーションが下がるだけだ。それよりも、時間が押してるんだから、早く出発しないと!
俺が救芽井に視線を送ると、彼女は相槌をうって玄関の扉を開く。ひゅうっと冷たい風が吹き抜け、この場の気温が急激に奪い去られていく。
「最後の数時間、じっくり楽しんで来るんだよ」
「――はい。じゃあ、行ってきますね。剣一さん」
「ああ……行ってらっしゃい」
そして、古我知さんとの挨拶を交わした救芽井は俺の手を引くと、弾かれたように救芽井家を飛び出していく。
頬を染めていたその横顔からは、まるで遊園地に誘われた子供のような、朗らかな笑みが垣間見えていた。
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