第44話 袋詰めの古我知さん
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して、喜ぶ女がいるか? キモがられる結末に、ルートが確定してしまう。
時には危険を承知で突っ込む度胸も必要ではあるが、バッドエンドが必至である選択を敢えて選ぶ意味はない。勇敢と、無謀は違うのだ。
故に俺は、「異性」として意識しないように、注意しなくてはなるまい。ドギマギしまくってる事実が向こうにバレようものなら、変態呼ばわりじゃ済まなくなる!
龍太……うまくやれよ……!
「……うん。頑張ってみるね、お父様……」
「きゅ、救芽井?」
「……行きましょ、変態君。早くしないと時間がなくなっちゃう」
救芽井は兄貴に預けられた矢村を一瞥すると、俺の手を引いて階段を上がりはじめた。抵抗する理由も暇もなく、俺は彼女の歩みに身を委ねることになった。
「樋稟、あなたの荷物は私達がまとめておきますから、自由に楽しんできなさい」
「せいぜい頑張れよ〜い! お兄ちゃん応援してるからな〜!」
華稟さんと兄貴のエール(?)を背に受け、俺達は地上へと昇っていく。俺にとっては、丸一日ぶりの大地なんだな……。
階段を昇りきると、目の前に見覚えのある部屋が広がった。救芽井家のリビングだ。
「ふぃ〜、やっとこ地上に出たって感じだなぁ。んじゃ、さっそく町に行くとするか。時間が押してるんだろ?」
「う、うん……」
感慨に浸ってる暇はない。顔を上げてアナログ時計に目を移すと、その針は九時半を指し示していた。
彼ら一家の出発が零時。移動時間を考えると、さっさと動いた方が良さそうな気がするな。
メディックシステムに掛けられていた赤ダウンを羽織り、外出の準備を整える。
俺の血はちゃんと洗濯されてるみたいだし、銃創による穴もツギハギながら塞がれている。たぶん、兄貴がやってくれたんだろうな。
外の寒さは夕べに痛感したし、上着はちゃんと着とかないと、ね……。
そして、俺達は玄関に繋がる廊下の角を曲がった。その先にある光景を、考えることもなく。
「……やぁ。遅かったじゃないか、龍太君。お姫様に起こしてもらえたのかい?」
瞬間、俺は自分の目を疑う。目をごしごしと擦ってから二度見したが、景色は変わらない。
――玄関前で、古我知さんが首から下を袋に入れられ、ダルマのようにされている光景を見れば、誰だってこうなるだろうけど、な。
「……なにをやってんだ、あんたは」
「なにって……ご覧の通りさ。袋の中は『呪詛の伝導者』のブラックロープでガッチリ縛られてるよ」
ブラックロープ――あの黒い帯のことか。ゴロマルさんがやったんだろうなぁ……合理的だけど、えげつないことをしなさる。
「おじいちゃんが、『剣一を拘束するにはこれが一番いい』って……」
「あー、やっぱりね」
救芽井のバツが悪
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