第42話 目が覚めたら、親御さんにご挨拶
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
はない。真正面から放たれた、真実の声色だった。
――って、ぬぁあぁああ!?
「聞くところによると、君は次男だそうだな。長男ではないなら、婿に取っても文句はあるまい」
「ちょちょちょ、ちょっと待ったァ!」
「む、なんだ? まさか華稟にも劣らぬ樋稟の美貌に、不満があるとでも抜かすつもりかね」
「あらあなたったら、お上手なんですから」
「のろけてないで俺の話も聞いてください!」
俺はメディックシステムから降りて床に立つと、自分でもわかるくらい顔を赤くして反論する。
「見たモンは見ちゃったし、責任を取るってのはわかりますけども! そんな、いきなり結婚なんて……!」
「なら牢屋行きを望むかね? 君に残された選択肢は二つだ。樋稟と支え合う人生を選ぶか、冷たい牢屋の中で生涯を閉じるか!」
「強制猥褻で終身刑!?」
この人一体、俺が救芽井にどんなヤバいことしたと思い込んでんだ!?
「おーいゴロマルさん! そろそろ龍太が起きる頃じゃ――って、おぉ! 龍太!」
俺がある意味、人生最大級の選択を強いられていたその時、まさかの助っ人が現れた。……兄貴だ。
「あ、兄貴!」
この地下室まで繋がっている階段を下って来ていた兄貴は、俺を見下ろした途端にテンションを爆発させる。
「くはーッ! おいおいもー、水臭いぜゴロマルさん! 龍太が起きたなら起きたって、キチンと連絡入れてくんないと!」
「すまんのぅ、なにせ甲侍郎と華稟が一番に挨拶したがっておったんでな。それに、龍太自身も目覚めたばかりで、いわば病み上がりなんじゃ」
――どうやら兄貴も含め、みんな無事に事件を乗り切れたみたいだな。……本当に、よかった。
救芽井の両親二人もなんとか助かったし、一応「平和が戻った」って感じなんだろうな、コレは。
「へへへ、そうかそうか! なんにせよめでたいなぁ! お〜い、樋稟ちゃん賀織ちゃん! 龍太のバカが目ぇ覚ましたみたいだぜー!」
兄貴は俺の回復を知らせようと、上の階にいるらしい救芽井と矢村を呼びに行ってしまう。ああいう俺絡みで忙しくなるところを見ると、いつも通りで安心するよ。
そして――
「へ、変態君……ッ!」
「りゅ、龍太……龍太ァ……!」
二人の姫君が、感極まった表情で舞い降りて来た。魔法が解ける前に、王子様のもとへと向かおうとするシンデレラのように。
どちらも目に一杯涙を溜めて、今にも泣き出しそうな顔をしている。いつもは毅然だったり活発だったりする彼女達が、そんな顔をしているのは、ひとえに俺のせいなのだろう。
だが悲しいことに、異性とのコミュニケーション経験に欠ける俺には、こういう時の気遣い方がわからない。王子様には、程遠いのだ。
――なので、こ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ