第42話 目が覚めたら、親御さんにご挨拶
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「話は全て父上から伺ったが、こうして顔を合わせるのは初めてになるな。着鎧甲冑の開発者・救芽井甲侍郎だ」
「あなたが、樋稟の王子様ですのね。私は彼の助手であり妻でもある、救芽井華稟です。あなたには、娘がお世話になりましたわ」
父は厳格に、母はにこやかに。二人揃って俺に自己紹介をしてきた。
……うへぇ、眠ってる時もさることながら、こうして意識がある状態で向き合うと、もうこれだけで「品位の違い」を見せ付けられてる感じがするなぁ……。
「……あー、ども。一煉寺龍太っす。えーと、こちらこそ、娘さんにはお世話になりました〜……」
そんな劣等感をブチ込まれてる俺に、まともな礼儀で応えるなんて出来るはずもなく。いかにも庶民って感じの挨拶を返してしまった。
ぐへぇ、なんか超恥ずかしい! 普通に受け答えしてるはずなのにっ!
「――君のことは、さっき言ったように全て聞いている。私達を、樋稟を、着鎧甲冑を救ってくれたことに……礼を言いたい。ありがとう」
俺がうまく挨拶を返せなかったと勝手に身もだえている間に、救芽井のお父さん――甲侍郎さんが、いきなり頭を下げてきた。
「えぇえ!? ちょ、甲侍郎さん!?」
当たり前だが、俺は年上のオッサンに頭を下げられたことなんてそうそうない。なので気の利いた台詞が思い浮かばず、狼狽してしまう。
「……私は、間違いを犯したつもりはなかった。着鎧甲冑は、人々を救うためにこそあり、兵器として運用されるようなことがあってはならない――そう断じてきた」
頭を下げた状態のまま、甲侍郎さんは文字通り目を伏せた格好で話しはじめる。
俺は「どうすりゃいいんですか?」と華稟さんに視線で助けを求める……が、彼女は「うふふ」とうやうやしく微笑むばかりで、俺の意図に気づく気配がまるでない。
「だが、それは所詮「私個人の独断」でしかなかったのだ。その結果として、着鎧甲冑の未来を憂いた剣一は暴走してしまった。そして樋稟が、父上が、そして君達のいるこの町が巻き込まれ――誰もが望まぬ戦いを、強いられていた……」
「こ、甲侍郎さん……」
「――下手をすれば、「着鎧甲冑」という存在そのものが、救うべき人々を脅かしていく時代が訪れていたやも知れん。君は……そんな危機に晒されたこの世界を、救ってくれた。星の数ほどの礼を並べても、足りはしないだろうな」
「世界って……いくらなんでも飛躍しすぎですよ。俺はんな大層なコト、しちゃいませんから」
甲侍郎さんの過大評価に、思わず俺は苦笑い。人間一人を張っ倒したくらいで「世界を救った」だなんて、世界観広がりすぎでしょうに。
「飛躍などしておらん。予想されていた最悪の未来が、覆されたということなの
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