第41話 俺とあんたの最終決戦
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「やるしかないのか――着鎧甲冑ッ!」
脇腹を抑えながらも、両の足でしっかりと立ってガンを飛ばす俺を前に、古我知さんは腹を括って「呪詛の伝導者」に着鎧する。話し合いが通用しないということを、俺の目を見て判断したらしい。
――いよいよ、最終決戦ってワケだ。
俺達は雪景色に彩られた採石場を舞台に、一対一で睨み合う。救芽井と矢村も、口出しできる状況じゃなくなったことを察したのか、不安げな表情を浮かべながらも無言になった。
この場にいる四人全員が一言も喋らないせいで、今まで気にならなかったような風の音が、妙にうるさく聞こえてくる。俺はそれら全てを聞き流し、古我知さんに対して戦闘態勢を整える。
水月程の高さに置いた右肘から、右腕を上に曲げて掌を張り、同時に左手を右腰の辺りに添える感覚で構える。
れっきとした少林寺拳法の構えの一つ、「待機構え」だ。
その名の通り、敢えて胸の辺りをがら空きにして攻撃を誘う、カウンター用のもの。自分からガンガン攻めていく、救芽井の「対『解放の先導者』用格闘術」とは正に対照的なスタンスであり、それを研究しつくしてる古我知さんには対応しづらい戦法であるはずだ。
事実、「守主攻従」を原則とする少林寺拳法の技を前に、古我知さんは手も足も出ていなかった。廃工場での太刀合わせだけじゃ、俺の技は把握しきれてないはずだし、まだまだ通用するはず!
俺は待機構えを維持したまま、打撃攻撃を誘うため、ジリジリとすり足で「呪詛の伝導者」に接近する。飛び道具を使われたら、さしもの少林寺拳法でも対応しきれないからだ。
一歩、二歩と、こちらの意図を悟らせないように近づいていく。いよいよ距離が五メートルを切った辺りで、攻撃に備えて素早く動くために腰を落と――
「……『バックルバレット』ッ!」
――す瞬間、「呪詛の伝導者」の腰にあるベルトが激しく発光した。……あれは、ただの光じゃない!
「くうっ!?」
とっさに待機構えを解き、側転でその場を飛びのく。そして、さっきまで俺が立っていた周辺に、弾丸の雨が降り注いだ。
……どうやらピストルだけじゃあきたらず、ベルトに「解放の先導者」のような機銃まで仕込んでいたらしいな。口からは炎まで吐きやがるし、どこまで武器を仕込めば気が済むんだよ、コイツはッ!
俺は「バックルバレット」とかいう機銃掃射をかわすと、採石場の小さな岩山に身を隠す。向こうは銃を持ってるんだし、棒立ちでいるわけにはいかない。
銃撃が止んだ後、俺は身を乗り出して「呪詛の伝導者」の姿を確認する。彼は得意げな様子で、腰のホルスターからピストルを引き抜いた。
「いつまでも同じ手は食わないよ。君の拳法の全てこそ網羅してはいないが――構えを見れば、カウンター重視の戦い方だと
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