第41話 俺とあんたの最終決戦
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ずだ!
「き、君が……君が、どれほど強くても! 僕は――負けられないんだァァァーッ!」
向こうも、万策尽きたと感じたらしい。「呪詛の伝導者」としては恐らく本邦初となる、完全な肉弾戦を仕掛けてきた。
剣は廃工場で落としたし、ピストルはさっき捨ててしまった。バックルバレットも火炎放射も、この距離では発動が間に合わない。
こうなっては、もはや頼れるものは自分の拳しかないのだ。
――だが、「呪詛の伝導者」が如何に優れた戦闘用着鎧甲冑だと言っても、着鎧してる人間に技量がなければ、意味はなさない。
古我知さんの繰り出すパンチは、綿密に訓練された精度が感じられる、鋭いモノだった。が、俺の少林寺拳法と「救済の先駆者」の運動能力の前では、格好の餌食でしかない。
それに、彼の攻撃は至って直線的であり、受け流すのはかなり容易だった。焦りの色が、露骨なまでに技に出ていたんだ。
俺は縦に構えていた右腕で、漆黒の鉄拳を払いのけ――黒鉄の鎧に覆われた首筋に、一発の手刀を入れる。
「ぐっ!?」
首に手刀を当てられたことで、彼の動きが一瞬固まってしまった。そこへ、右腰の辺りに添えていた左手から、腰全体を回転させた突きを「呪詛の伝導者」の水月に叩き込む。
「――ぐはァッ!」
そうして、俺に劣らず痛手を負った古我知さんは、たまらず腹を抑えてフラフラと後ずさる。お互い、意識が飛ぶ一歩手前の満身創痍って状態だ。
古我知さんは「まだ負けられない」と言わんばかりに、ヒィヒィと息を荒げながらも俺を睨みつけている。
だが、その頃には既に、俺は最後の一発を決める体勢を作っていた。
左半身を前に向け、どっしりと腰を落とし――右腕に、残る全ての力を込めて。
「うぐッ!?」
今の俺に出来る、最後の構えだ。この体勢から繰り出す一撃が、俺の限界だろう。
古我知さんも、俺が「そういうつもり」で攻撃を仕掛けようとしているのが雰囲気でわかったのだろう。「呪詛の伝導者」は明らかに動揺した動きを見せている。
だが、水月への突きが相当効いたのか、危険が迫っているとわかっていながら、その場を動けずにいた。
「……前に言った通り――その鼻っ柱。『文字通り』、へし折らせてもらうぜ」
――そして、全力で回転させた腰から打ち出される、俺の最後の一撃。
掌から、手首の関節に近い部分で衝撃を加える突き――「熊手」の一閃が、「呪詛の伝導者」の顔面を遺憾無くブチ抜き、岩山まで派手に吹き飛ばしてしまった。
岩壁にたたき付けられた漆黒の鎧は、地面にズシャリと落下した瞬間に、スーッと消えて行き――本来の姿である古我知さんが出てきた。元の姿に戻っても、彼が動き出す気配はない。
……そして、俺の方も限界を迎えよ
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