第40話 願いの守り人
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町の人間に味方が一人もいない、というのは苦しいものだっただろう。
だけど、彼女は弱音を吐かなかった。と言うよりは、見せないようにしていた。
この町のスーパーヒロインであることを意識して、自分の夢だったらしい「お姫様願望」ってヤツを、半ば諦めているようだった。そんな一人我慢大会、俺には到底マネできそうにない。
それほどのことをやってのけてきた、彼女の代役を――「こんな」俺が今、やろうとしている。こんな滑稽な話はないだろう。
だが、俺自身はマジだ。大マジだ。
彼女を、そして矢村を助けられる可能性がわずかでも俺にあり、そのチャンスが今あるのなら。それを実行できるだけの力が、まだ残っているとしたら。
――何を置いても、やってみるしかないだろう。
だから俺は、彼女の変身ポーズを取る。
「救済の先駆者」として戦う以上、せめてほんの少しでも、スーパーヒロインだった彼女の傍にいたいから。そして、彼女の願いを、ちょっとでも守ってやりたかったから。
――彼女達、「救芽井家」が作り出した「着鎧甲冑」で、誰かを救うという「願い」を。
「正義の味方、『着鎧甲冑ヒルフェマン』……これで最後の参上だ」
そして俺は今「救済の先駆者」を纏い、名乗りを上げる。
俺にできることを最後に一つ、やっておくために。
「技術の解放を望む者達」を……「呪詛の伝導者」を、そして「古我知剣一」を、ぶっ飛ばすために。
この町の、たった独りの「スーパーヒーロー」として。
またあるいは、「お姫様」を救う「王子様」として。
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