第40話 願いの守り人
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抑えなくては、一歩踏み出すのも一苦労なくらいなんだから。
その上、今は黒シャツ一枚という格好なのだ。十二月の、雪が降る夜の中で。ぶっちゃけ、死にそう。
こうやって軽口の一つでも叩いて、「まだ自分には余裕がある」と言い聞かせないことには、まともにやり合う前に勝手にノックダウンしてしまうことだろう。
いや、そもそもこんな状態で「戦おう」なんて考え出す段階から、既に相当なイカレポンチなのだろう。俺は。
でなければ、救芽井や矢村の驚き顔に説明がつかない。
「……って、龍太!? そんな格好でなにしよるん!? 風邪引くやろっ!」
「まさか、そんな状態で戦うつもり!? ダメ! ダメよそんなのッ!」
口々に彼女達からブーイングが飛んで来る。いつもなら勢いに流されて降伏してしまうところだが、今回ばかりは彼女達の言い分に耳を貸してはいられない。
古我知さんを止める、それが今の俺の全てなんだから。
俺はしばらく無言のまま――いや、ベラベラと喋る元気もないまま、古我知さんに手の甲を向け、「腕輪型着鎧装置」を見せ付ける。
俺はまだ、戦う。その意思表示のために。
「まさか――君、戦うつもりかい!? そんな身体で!」
古我知さんから見れば甚だ非常識であるらしく、さっきよりもかなりテンパっている様子だ。一度殺しかけたけど、生きていて安心……というところで、わざわざ死にに行くようなマネをしだしたのだから、まぁ当然と言えば当然だろう。
「バカげている! 元々、君には関係のない話だったはずだろう、龍太君!」
「……うるせーな、ごちゃごちゃ騒ぐんじゃないよ。傷に響くから」
それでも、ここまで来ておいて、今さら引き下がるような空気の読めない行動を取る気はない。加えて言えば、関係あるかどうかを決めるのは、俺だ。
「な、なんだというんだ、君はっ……!」
「俺に関係あろうがなかろうが、こんなドタバタに出くわした時点で『無関係』なんてありえねーんだよ。他の誰でもない、俺のためにこそ、『好き放題』させてもらうことにした」
――そう、せめて俺自身の「心」だけは守れるように。彼女達を見捨てて、それを痛めることがないように。
「だから……! 着鎧、甲冑……ッ!」
音声による入力と同時に、この町のスーパーヒロインにあやかった変身ポーズを決める。傷に障るどころの騒ぎじゃなく、脇腹から捩切れるような激痛が走った。
痛みのあまり溢れそうになる悲鳴をかみ砕き、しゃがれた声で「腕輪型着鎧装置」を起動させる。平行して行う変身ポーズで、身体に鞭打ってる分だけ痛みもひとしおだ。
……救芽井は、たった独りで「技術の解放を望む者達」と戦いながら、この町を守り抜いてきた。ゴロマルさんが傍にいただろうけど、それでも松霧
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