暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第39話 死に損ないのヒーローもどき
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 ……あれ……?
 俺、生きてる……のかな……?

 天井を見上げた格好――つまり仰向けに倒れたまま、俺は意識を取り戻していた。どうやら、しばらく気を失っていたらしい。
 死んでないばかりか、記憶をなくしてもいないらしい。俺が撃たれる瞬間のことは、今でも鮮明に焼き付けられている。
 しまいには、「腕輪型着鎧装置」まで俺の手に残されたままだった。古我知さんも詰めが甘いな……いや、俺なんて取るに足らないってことなのか?

 こうして、朧げながらも目を覚ます前から、顔に何かコツコツ当たってるような感じがしていた。何かと思えば……戦いの衝撃による小さな破片が、パラパラと俺の顔に降って来ていたらしい。
 そんな一センチにも満たないような金属片に、俺はたたき起こされてしまったわけだ。ここまで情けないと、もはや笑うしかないな。
 首を上げて辺りを見渡すが、人っ子一人いない。いるとするなら、カプセルの中で眠らされている救芽井の両親くらいか。

「全く、もうちょっとで三途の川でも渡ろうかってとこだったのによ。ははは……あぐッ!」

 目を覚ませば、既に傷は癒されていて――なんて都合のいい話はないらしい。身を起こそうとした俺の感覚神経に、鋭い痛みが走る。
 さらに、喉の奥から込み上げて来るものを抑えられないまま、血まで吐き出してしまった。口元に赤い筋が伸びていくのがわかる。
 そして、痛みの発信源である左の脇腹からは、じんわりと血が滲み出ていた。赤いダウンジャケットを着ているせいで、傍からは見にくいが――撃たれた当事者である俺には、文字通り痛いほどよく見える。

 こんな痛い目に遭って、よく死なずにいられたもんだよなぁ。着鎧甲冑を着ていたとは言え、銃で撃たれた上に、寒い廃工場で意識不明になってたってのに。
 ――俺は、銃撃を受けたショックで気を失いはしたが、金属片が顔に当たった感覚のおかげで意識を取り戻せた。
 それがなければ、助けも来ないような薄暗い部屋の中で、出血と衰弱と冷気でくたばっていただろう。凍死する前に目を覚ましてくれた金属片の皆様に感謝だ。

 さて、意識が戻ったからには出血を抑えなくてはなるまい。もうほとんど止まっているようだったが、万一、これ以上噴き出されたら今度こそ死んじまう。
 俺はダウンジャケットを傷に障らないようそっと脱ぎ、銃創の部分に帯を締めるような気持ちで、袖同士を結び付けた。
 これで傷は完全に塞がれたが、代わりに俺の上半身は黒シャツ一枚になってしまった。敢えて言おう。死ぬほど寒いと!

 ……が、今は傷を応急処置しておくことが先決だ。俺はキツイくらいに袖をギュッと縛ると、ゆっくり立ち上がって辺りを見渡してみた。
 やはり、このフロア一帯は既にもぬけの殻。「解放の先導者」達も機能停止したままで、
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