第38話 死亡フラグを建てた覚えはない
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賜物って奴か……。
「やったぁぁー! 龍太の勝ちやぁー!」
「ちょっと矢村さんっ! まだ終わりじゃないのよ!」
俺の上受投が決まると、二人の美少女から歓声が上がる。俺としても両手放しでヒャッハー! ……と喜びたいところだが、どうやらソレはまだ早いらしい。
彼が未だに、諦めずにいるからだ。
「くっ……くそっ……まだ、だ……! まだ、負けるわけにはァッ!」
「まだやるつもりか、古我知さん。これ以上わがままを通そうってんなら、次はその鼻っ柱を『文字通り』へし折るぜ?」
「例えどこをへし折られようとも……僕は……負けられないんだァァァッ!」
投げはともかくとして、水月への突きはかなり効いたはずだったのだが――どうやら、戦意は未だ健在らしい。
古我知さんはフラフラと身を起こすと、俺を睨みつけ――突進してきた!?
「……!? 何を考えてる!?」
剣はさっき落としてしまったが、まだピストルが残っているはず。なのに、よりによって明らかに分が悪いはずの「接近戦」に持ち込む気なのか……!?
「ゼロ距離射撃」を仕掛けて本気で殺すつもりなのか、それともただヤキが回っただけなのか……いずれにせよ、何をしでかすかわからない。なら、「何かをする前」に叩き潰す!
俺は右膝を上げ、待ち蹴の体勢を作る。もう一度水月に蹴りの一発でもブチ込まれりゃあ、今度こそダウンするだろう。これで終わりだ!
みるみるうちに迫って来る「呪詛の伝導者」。俺は彼の急所の一点に、一撃必殺の狙いを付けた。
「おおおおッ!」
「古我知さん……終わりだァッ!」
そして、互いの距離が約二メートルを切った瞬間、俺は膝を曲げて蹴り足を振り上げ――
――空を切った。
「……なにッ!?」
完全に、誤算だった。
古我知さんは俺の蹴り足が上がる瞬間、進路方向を逸らして素通りしてしまったのだ。俺を抜き去った「呪詛の伝導者」は、なおも止まらず突進を続ける。
なんだ……? ――まさか、狙いは俺じゃない!?
後ろを振り返る前に聞こえる、矢村の悲鳴。それこそが、古我知さんの思考を象徴しているものだった。
「――救芽井と矢村が狙いかッ!」
俺は素早く体を反転させ、「呪詛の伝導者」を追う。
後付けされた武装がない分、身体能力はこっちの方が上。この「救済の先駆者」なら、追い付けるはずだ! 足がチギれても、絶対に捕まえてやる!
俺が必死に追い掛けている間にも、徐々に「呪詛の伝導者」は救芽井と矢村に迫ろうとしていた。救芽井は生身のままでも毅然とした態度を維持しており、怯えている矢村を抱きしめて険しい表情を浮かべている。
――くそッ! 「解放の先導者」の脅威が取り除かれた時点で、強引にでも逃がしてお
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