第38話 死亡フラグを建てた覚えはない
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られてなくってホントに助かったわ。「回避」と称した「逃亡」ばっかりだった訓練の賜物だな、こりゃあ。
なんとか膝を立てて起き上がると、俺は中段構えの体勢で「呪詛の伝導者」と対峙する。
「今度は外さない! 次の一太刀で終わりだよ龍太君……!」
「野郎……! こうなったら蹴りだけでもやってや――る?」
そこで俺は、ふと違和感を覚えた。
……なんで「中段構え」が出来るの? 俺、縛られてたはずじゃ……。
気になって視線を下に落とすと――あの黒い帯が、ズッパリと切り落とされているではないか。
「さっきのアレで、切れた……?」
考えられることと言えば、それしかない。あの斬撃を避けたはずみで、俺を縛っていた黒い帯だけが斬られたんだ。
どうやら古我知さんは、俺を斬るどころか素敵なサポートをしてくれたらしい。
「へえ……二度も敵さんに助けられちゃったよ」
「くッ、しまった……だが、銃に弱いのは変わらないだろうッ!」
古我知さんは左手に持った剣を構えたまま、ピストルを出そうと右腰に手を伸ばす。
「――そう何度も撃たれるかよッ!」
もちろん、ターン制よろしく黙って見ている俺じゃない。すり足からの踏み込みで一気に距離を詰め、ピストルを使う暇を与えない!
「く、くそぉぉおぉっ!」
瞬く間に迫る俺を前に、銃を構えるのは間に合わない……と感じたらしい。彼は両手で剣を持ち直し、俺を迎え撃つ。
力一杯振り上げられた剣は、俺の脳天に狙いを定め――持ち主の意志に引かれるように、刀身を降ろそうとする。
そこが、狙い目だ。
「――うぁたァッ!」
腰を落として姿勢を安定させ、剣を握っている両手首を左手で受ける。あくまで軌道を逸らす程度の力で押さえ、力任せに攻撃全体を受け止めはしない。
同時に、安定した姿勢から腰を回転させ、繰り出された突きを彼の水月に叩き込む。「ガハァッ!」という短い悲鳴と共に、俺の左手で受け流していた両手から、剣がガランと落下した。
もちろん、それだけで終わらせるつもりはない。
よろけた彼の右肘を、こっちの右手で引っ掛けるようにして引き込み、同時に左手で彼の右手首を抑える。
すると、古我知さんの体勢は右肩が下がるように崩れ、今にも倒れそうになった。
「――はああァッ!」
そして俺は、その状態のまま左足を軸にして、体全体を回転させる。無論、体勢を崩された古我知さんもろとも。
「うわああああッ!」
姿勢の安定性を失ったまま、思いっ切りブン回された古我知さんは派手に全身を回転させながら吹き飛び、地面に激しく転倒する。
少林寺拳法の投げ技「上受投」――ではあるんだが、普通ならここまでド派手な技にはならない。これ超人的パワーの
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