第34話 やられたら、やり返す
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かよ……! 寒い冬には、ありがたすぎるプレゼントだな……」
人を救うために作られた機能から、こんなドギツい代物に仕立てあげられちまうとはな。こんなもん、人間に使ったら骨も残らねぇだろ!
「さて――君がどういう意図で僕に挑んだのかは知らないが……まずは、その勇敢な瞳を閉ざさせてもらおう」
「そ、そんなっ……! 変態君、逃げてぇっ!」
少しずつ身を起こし始めていた俺に追い討ちを掛けようと、古我知さんがズンズンと迫って来る。開始三分でチェックメイトってか……!?
「……あ、アヅッ……!」
とっさに頭を庇った腕を火傷したらしく、立ち上がろうと地面に押し付けた両手に鋭い痛みが走る。あーくそ、しょっぱなからキツいなコレは……。
やっと両足の筋力を杖に立ち上がると、既に「呪詛の伝導者」の姿が眼前に迫っていた。端から見れば、絵に描いたような「絶体絶命」ってとこだろう。
「君の頑張り――短いものだったけど、覚えておくよ!」
俺にとどめを刺さんと、古我知さんはさっき俺を散々痛め付けた剣を振りかざす。年貢の納め時――ってことになるのかな?
だが、彼の動きには迷いが見えた。
勢いで殺してしまうのではないか、という迷いが。
兵器を作り出した者としての、その矛盾した感情が現れると共に、俺に反撃の機会が訪れたのだった。
「……ぉああああッ!」
気力だけを頼りに、俺は慣れた姿勢からの蹴り上げを放つ。腰を落とし、軸足を踏み込み、蹴り足を水月(要するにみぞおち)に向けて振り上げる。
振り子のように弧を描いて突き刺さった蹴りは、一瞬にして古我知さんの肺から空気を奪い去った。
「ぐっ……はッ!」
「え……うそ……!?」
予期せぬ反撃に、思わず彼は膝をつく。救芽井も俺の攻撃が効果を発揮していることに、驚愕を隠せずにいた。
「この瞬間」こそが、俺の勝機。
ゴロマルさんと兄貴から教わり、信じると決めた俺だけの戦法。そして救芽井になく、俺にあるもので立ち向かう手段。
それは相手の攻撃を誘い、「立派な急所」を持つ「生身の人間」である古我知さんの隙を突くというものだった。「守主攻従」の原則に従う、「少林寺拳法」をもってして。
胸の辺りを抑えつつ、全く予期していなかった苦しみに喘ぐ古我知さんを、俺は一瞥する。
そして、精一杯の虚勢を張った。彼を、俺の唯一無二の策に引きずり込むために。
「――どうせ短いんだ。せっかくなら、一秒でも長く焼き付けて貰わないとな?」
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