第34話 やられたら、やり返す
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「そんなゴテゴテしたもんぶら下げてたら、動きづらくてしょうがないだろう! 速さならこっちが上だ、照準付けられるかやってみなー!」
ちなみにコレは、ゴロマルさんの弁だ。「呪詛の伝導者」は「救済の先駆者」にない武装を持っているが、それ故に機動力がオリジナルよりも低下している……んだと。要は、武器引っ提げてるせいで動きが鈍くなってるんだそうだ。
そういうことなら、全力で走ればこっちの方が速い。背後を取れれば、ピストルに怯える心配はなくなるはずだ!
俺はしばらく「呪詛の伝導者」の周りをぐるぐる走り回り、彼の左半身の部分を狙うことに決めた。
ピストルを握っているのは右手――つまり、得物を持っていない側から仕掛ければ、ソレを向けられる前に一撃を加えられる。そういう理由だ。
「――よし、もらったァッ!」
遠心力に引っ張られていた身体をふん縛り、俺は地を思い切り蹴飛ばす。狙うは、古我知さんの左三日月!
向こうもこっちに反応して来たが、ピストルの手は動いてない! コレは行けるッ!
俺は左腰に左腕の肘を当て、反動のようにその腰を思い切り回転させる。そこから生まれる衝撃に打ち出さた拳が、古我知さんの急所を捉えた――
「残念。ピストルだけが飛び道具だと思った?」
――時だった。
不可解な彼の発言と共に、視界が真っ赤な炎に覆われたのは。
「ぐわああああっ!?」
熱い。体中が、焼けるように熱い! ――いや、本当に焼けてる?
着鎧甲冑越しでも強烈に感じられる、肌はおろか肉や骨までも焼き尽くしてしまうような――激しい熱。
俺は熱から生まれる痛みに呻き、せめてもの意地で「倒れはしまい」とその場にうずくまる。後ろの方からは、二人の少女による悲鳴が上がっていた。
痛みはそれだけには留まらない。
腰に忍ばせていた一振りの剣を引き抜き、「呪詛の伝導者」は俺目掛けて容赦なくそれを振るった。
「ぐ――あぐぁッ!」
俺の痛みを象徴するかのように、「救済の先駆者」のボディから鮮血の如く火花が飛び散っているのがわかる。立ち上がろうとしていた俺は、その無情な連続攻撃にたまらず膝を着いてしまった。
「君がいけなかったんだよ――君がッ!」
心なしか、僅かに震えたような声で……古我知さんは吠える。そして、俺を蹴り飛ばす。
俺はサッカーボールのように少しばかり転がされ、その勢いが止んだ途端に身を起こした。完全に立ち上がるにはちと時間が掛かりそうだが、顔を上げるくらいなら……なんとか大丈夫そうだ。
「『救済の先駆者』における、酸素供給システム――その中枢を担うマスクの唇型だが、この『呪詛の伝導者』は少しばかりアレンジされていてね。酸素と言わず――炎を出すんだ」
「口から火炎放射
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