第32話 ヒーローは遅れてやって来るもの?
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どうしようもない現実に心を締め付けられた救芽井は、地面に顔を押し付けてむせび泣く。そんな彼女を一瞥すると、古我知さんは拾った「腕輪型着鎧装置」をポケットに入れ――
「させるかァァァーッ!」
文字通りのヘッドスライディングで。俺は古我知さんの手中にある「腕輪型着鎧装置」にダイブした。
さすがに彼も救芽井のことで夢中になるあまり、俺の接近には気が付かなかったらしい。突然の事態を前に、状況が飲み込めずにいるようだった。
俺は古我知さんの脇をすり抜けると、ゴロゴロベチャリ……という情けない効果音と共に転倒。それでも、奪い取った「腕輪型着鎧装置」だけはしっかりと握り締めていた。
「なっ……へ、変態君ッ!?」
これ以上ないというくらい、救芽井は驚愕の表情で固まってしまう。こんな時でも変態扱い――安定の救芽井さんである。
「龍太〜! 大丈夫なん!? どっか痛くない!?」
感情剥き出しの暴挙に走った俺を追って、矢村もこの場に追い付いてきた。無我夢中になったら、俺って矢村より速く走れるんだな……。
「や、矢村さんまで!? 二人とも、どうしてこんなところに!?」
「え? え〜っとぉ、それはやなぁ……りゅ、龍太。なんとか言ってや」
「ちょ、ここで俺に振るの? なんか古我知さんポカンとしてんだけど……」
この雰囲気ぶち壊し上等な俺達の登場に、さすがの古我知さんも理解が付いていけてない様子。まぁ、当然の反応だよな。
よし! ここは救芽井にも古我知さんにも、俺達が来た用件が一発で分かるように、ガツンと言ってやるか!
「……まー、要するにあれだ! 助太刀に来たってことでッ!」
「腕輪型着鎧装置」を腕に巻き付け、俺は高らかに宣言する。ヒーローは遅れてやって来る……みたいなノリで。
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