第三章
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たね」
「そう、殺されてたのね」
「自業自得だよ、よかったよ」
「こう言ったら何だけれど」
心優しい彼女は一呼吸置いてから僕にこう言ってきた。リビングの席に向かい合って座ってビールを飲みながらの話だった。
「正直ほっとしてるわ」
「あいつがいなくなってね」
「殺されたことはどうかと思うけれど」
「それでもだよね」
「本当にほっとしてるわ。もう二度と私の前に出て来ないから」
「人ってのはその行いに相応しい結末が待っているんだね」
僕はこのことがわかった、ツレはそう言いたかったのだ。
だから僕はこのことに気付いてまた彼女に話した。
「葛は消えていくものだね」
「貴方や私に何かしてくる前にそうなってよかったわね」
「本当にね、よかったよ」
僕は自分がほっとしている顔になっていることが自分でもわかった。そのうえでの言葉だった。
「念には念を入れてスタンガンとか入れてたけれどね」
「それでもよね」
「よかったよ。用心は必要だけれど」
「碌でもない人間はやがて消えるのね」
「そういうことだね」
僕はほっとしている顔でビールを飲みながら彼女に応えた。缶ビールがこんなに美味しいと感じたことはなかった、殺意を抱くことがどんなに馬鹿馬鹿しいことかもわかって言った。
「僕達が何かする前に」
「相手が勝手に自滅するものね」
このことがわかった僕達だった。人は自分の行いが返ってくる、悪い奴は特にそうなることがわかって自分達にも言い聞かせながら今は乾杯した。本当にほっとしながら。
元カレ殺す 完
2012・12・3
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